ウルフの鉄板中の鉄板と言えば、チェスからの最初の4枚「Moanin' In The Moonlight」「Howlin' Wolf」「The Real Folk Blues」「More Real Folk Blues」。
LPでは4枚だが、CDなら2枚で聴くことができる。
このCDは、そのうち「Moanin' In The Moonlight」「Howlin' Wolf」をカップリングしたCD。
日本盤はLPのリリース順に収録されているが、輸入盤では逆の「Howlin' Wolf」→「Moanin' In The Moonlight」順。
私はShake For Meで始まる輸入盤が好きだが、この辺は好みの問題だろう。
「Moanin' In The Moonlight」の録音時期は以下の通りで、シカゴ移住直後の1954年を中心に50年代を幅広く押さえている。
チェスのブレイン、ウィリー・ディクソンの曲はEvilだけだが、ウルフのブルースのなんたるかを幅広く捉えており、もっとも有名な代表作中の代表作だ。
1951年:1・2(メンフィス時代)
1952年:(なし)
1953年:6(メンフィス時代)
1954年:4・5・7・11
1955年:(なし)
1956年:3・10
1957年:12
1958年:9
1959年:8
(LPは1959年発売)
「Howlin' Wolf」は1960/1961年が中心で、全曲でヒューバート・サムリンのギターが楽しめる。
また、ウィリー・ディクソン作が大半の9曲を占め、彼の名曲群を味わうにも最適だ。
(“女ウルフ”と呼ばれたココ・テイラーでも有名なWang Dang Doodleもアリ。「
Koko Taylor
」もお薦め)
1957年:4・12
1958年:(なし)
1959年:11
1960年:5・7・10
1961年:1・2・3・6・8・9
(LPは1962年発売)
このCDと「
Real Folk Blues/More Real Folk Blues
」を併せれば、名演・代表曲の類はおおよそ聴くことができる。
時系列構成のアンソロジーCDも悪くないが、2時間を超えるボリュームで変化を追うのは入門向けとは言い難い。
しかし、ミックスされたオリジナルLPならエンターテインメント作品として構成されているので味わい深く、1枚1枚を分けて楽しむことも可能。
もっと言えば、アナログAB面(15〜17分)の短い流れが繰り返されるので、初めてでも飽きずに全編聴き通せてしまうかもしれない。
これらのCD2枚(=LP4枚)を楽しんだ上で「もっと!」と思うなら「
SINGS THE BLUES
」「
Change My Way
」を、「変わりダネも聴きたい」と感じるなら「
MESSAGE TO THE YOUNG
」をお薦めする。