恥ずかしながら、あまりマッカーシズム(赤狩り)についてはチャーリー・チャップリンの事くらいしか知りませんでしたが、本作を観て、自由な国であり、且つ理想の国であるはずのアメリカであれ程恐ろしい事が起きていたなんてちょっとショックを受けました。ウディアレンの最後のhumanbeingとしての在り方を表現していたのはカッコ良かったですが、何よりヘッキー・ブラウン役のゼロ・モステルが何故か最初の登場シーンから惹き寄せられました。ヘッキー・ブラウンの悩みは家族を支える全ての人間の想いを現しているようでしたし、其々の登場シーンも頭から離れないものでした。最初に申し上げた通り、ゼロ・モステルの其々の登場シーンとフランク・シナトラの「Young At Heart」が強固に絡み合って、なかなか離れません。今回はウディアレンのいつもの演技の色は出せなかったと思いますが、出演作の中では忘れられない一作だと思います。