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ごくごく普通の中学教師が、プルトニウムを盗み出して自らの手で原爆を作り上げ、国家に挑戦していく姿を描いた、伝説の監督・長谷川和彦による反体制的ピカレスク・ロマン。一見荒唐無稽風でアラも多いが、それを凌駕(りょうが)する映画のパワーに満ち満ちている快作であり、20世紀を代表する日本映画の1本にこれを推す者も多い。
特に、前半の原爆を製造する際の描写が秀逸だ。いつもフーセンガムをふくらませている頼りなげな犯人を沢田研二が好演。また、彼が要求する事項が「TVのナイター中継を最後まで見せろ(79年当時は、放映時間が定められていたのだ)」とか「ローリングストーンズを日本に呼べ(当時、彼らは麻薬所持のせいで日本に入国できなかった)」と、何とも時代の空気を感じさせる。対する体制側には菅原文太というキャスティングの意外性もおもしろい。(的田也寸志)
レビュー
アナーキーでスタイリッシュな犯罪娯楽映画。ゴジこと長谷川和彦監督が22年前に撮った伝説の映画が、これまでのビデオやLDとは比べものにならないほどの美しい画面と5.1chサラウンドで甦った。原爆を作った中学校の教師が、日本政府にナイターの完全中継とローリング・ストーンズの来日を要求する。本編がおもしろいのは言うまでもないが、本編を超える156分もの特典映像は圧巻。ゴジをはじめスタッフの証言で構成されたメイキングはゴジ本人の監修によるもので、製作中に困難を極めた映画だけに、関係者には申し訳ないがメチャクチャおもしろい。ゴジも観ながら「こいつにもう1本映画撮らせてやりたかったなぁ」と、自分のことなのについ目頭を熱くさせてしまったほどの出来だ。一度でも『太陽~』を観た人は必見の内容。そして永瀬正敏&樋口真嗣との対談、上田正樹によるロケ地探訪、ゴジが録画していた『11PM』の『太陽~』特集など秘蔵映像も収録され、もう何も言うことはない。あとはゴジの新作を待つだけだ! (竹之内円) --- 2001年11月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
製作: 山本又一朗 監督・脚本: 長谷川和彦 原案・脚本: レナード・シュレイダー 撮影: 鈴木達夫 音楽: 井上堯之 出演: 沢田研二/菅原文太/池上季実子/北村和夫/神山繁/佐藤慶/伊藤雄之助/風間杜夫/小松方正/西田敏行/水谷豊
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)