「ドン・ファン」と「ティル」は、実に爽快な演奏です。歴氏のあるオーケストラから、これほどまでに明るく透明感があり、そして若さあふれる演奏を引き出したジンマン氏の功績は大きなものがあります。
「ツァラトゥストラ」もまた、一聴の価値あり。これまでその題名からか、哲学的で暗く沈鬱な演奏が多く、私もウンザリしていたのですが、このディスクは殊更大上段に構えることなく、純音楽としての演奏に撤していることに、好感を覚えます。何度聴いても飽きない、それどころか終わった瞬間、また聴きたくなる演奏です。ここでもジンマンの手腕とオーケストラの自発的な演奏が光っています。