ドヴォルザークのスラヴ舞曲ならば、ラファエル・クーベリックか、あるいはジョージ・セルか。ヴァ―ツラフ・ノイマンやスデニェフ・コシュラーといったチェコの名指揮者のご当地ものもよいのだが、時代を超えて推奨される名盤としては、この二人を措いて、ほかにはあるまい。クーベリックは、故国であるチェコを亡命後、バイエルン放送交響お楽団を率いてモーツアルトやマーラー、ベートーヴェン、ブラームス、ブルックナーなどの作品で名演、名盤を残してきたが、あらゆる意味で文句のつけようのない代表作として、ドヴォルザークのスラヴ舞曲を挙げることに異論をもつ者はいまい。
セル/クリーヴランド盤の「完全無欠」な名演に対して、クーベリック/バイエルン盤はよりヒューマンで民族的な香りが漂う、作曲者の息遣いが感じられるところが特徴。