美しい旋律と特異な楽器編成で作られた音のタペストリーは彼らにしか作れない風合い。以前にも以後にも作られたことのない耳のブランケットである
カフェの創業者サイモン・ジェフス没後10年を経て坂本龍一監修による日本人アーティストたちの鶏ビュートアルバムと日本独自編集のベスト盤もリリース、さらに各アルバムのリマスター盤がリリースされたりとPCOの音を継ぐ者が21世紀にもいることを喜びたい
このボックスセットは「すでにアルバムのCDを全て持っている」という方にはあまり大きな意義がないかもしれない(とは言え、そういう方は全て持っていたいという愛好家だからけっきょくは買うんだろうけど。。。つまり僕がそうだから)。「へー、ペンギンカフェかぁ、懐かしいなぁ」という方には綺麗な装丁も含めて薦められる。さらに昨年来「ペンギンカフェ、大好きになった」という音を告ぐみなさんや、「気持ちのいいプレゼントを探している」という方には大いにお薦め
内容は所謂「集大成」で、僅かな完全未発表曲と現在もCD化されていない日本独占発売のレコードだった「mini album」収録のライヴ音源(1982年の東京でのライヴの数曲)が貴重ではあるが、「未発表曲満載」の箱モノが多い中、やや地味だろう
それでも僕は小躍りして購入した。ジャケットに刻まれたこのロゴ。これほど機知に富んだロゴ・デザインは見たことがない。音、世界家族的な思想、アートワーク、何もかもが素晴らしかったPCOの音楽遺産をいつか子供たちにも楽しんで欲しいと思うからだ
尚、湯川潮音の「灰色とわたし」というアルバムはPCO唯一の日本人メンバー、クマ原田がプロデュース。そこここにPCOの新しい息吹を感じる編曲にて、ペンギンカフェのかつての常連さんは必聴