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DVDの性能をフルに発揮させることを前提に、 日本のギター界の若き至宝、村治佳織が、スペインの大作曲家ロドリーゴの生誕100年を記念してアランフェス協奏曲他ソロ3曲をアランフェス宮殿で、またファリャ、トゥリーナらの作品をマドリッド近郊の町ペドラッサ、古城(マンサナレス城)などで映像収録した超話題盤。
3か月にもわたるスペイン・ロケ、最新鋭デジタル・シネマ・システムによる撮影、一般観光客には入れない礼拝堂も含め世界初のアランフェス宮殿での演奏映像、スペイン気鋭の映像ディレクター、ジョアン・リエドベックの起用による映画的制作、どれをとっても人気・実力ともにず抜けた村治だからこそ実現したぜいたくな企画。
遠い異国スペイン独特の微妙な光と影と空気感、大理石の回廊の音、そして演奏する村治の息づかい…。最新鋭ハイビジョン映像のディテールと5.1chサラウンド音響の効果を満喫できるという意味でも絶好の作品だ。そしてここから浮かび上がってくるのは、ビジュアルばかりではなく、ひたすら純粋に音楽に没入する村治の凛(りん)とした精神の美しさである。とりわけエンシナル指揮マドリッド州立交響楽団をバックに演奏したアランフェス協奏曲は、村治をはじめ全員が息をのむような集中力で、画面から眼が離せなくなる出色の出来。あらゆる音楽ファンを納得させる待望の映像ソフトの登場である。
なお初回限定盤のみDVD、VHSそれぞれ別々のメイキングシーンを収録、彼女の素顔がボーナス映像として楽しめる。(林田直樹)
レビュー
アランフェス宮殿での「アランフェス」録音・撮影、しかも世界初の試みとなれば、まあ逆に、どうせそんな程度のもの、というのが通り相場。ところがこれがなかなか、反対の意味で期待を裏切られる。ロドリーゴの生誕100年にあわせた今回の企画に挑戦した村治佳織のギター演奏には、スペインを魂の故郷とするこの楽器の魅力、すでにあまりにインターナショナルな共通認識へと進化したその素敵さを一気に根元へと引き戻すだけの輝きがある。これはある種、エスニック・スタンダードとでもいえるものへの復権の兆しか。 (佐藤篁之) --- 2002年01月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
村治佳織(g)ホセ・ラモン・エンシナール指揮 マドリッド州立交響楽団 映像監督: ジョアン・リエドヴェグ
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)