Magmaの音楽は口で言うなら、異常なまでに誇張されたリズムとオペラチックなコーラス。驚異的な演奏力とテンション…みたいな感じになるのですが、時期によっては管弦楽器を主体としたジャズロックであったり、ファンキーであったりするので、一概に言いにくいところがあります。それどころか、どの時期もあまりにも強烈すぎてMagmaという一つのジャンルとしか言いようがなく、正直聴いてもらうしかありません。
というわけで、一番わかりやすい形で「これがMagmaの音楽だよ」と知ってもらうのに一番最適なのが、75年にリリースされたこの名盤の誉れ高いLive盤なのではないでしょうか。
言うまでもなく、演奏・テンション共に最高です。クリスチャン・ヴァンデの手数の多い脅威のドラミング。ベルナール・パガノッティのファズ効きまくりのブリブリBass。当時20歳にも満たない天才ヴァイオリニスト、デディエ・ロックウッドの狂気のソロ。そしてクロース・ブラスキスのVo…当時メンバー的にも音楽的にも絶頂期で、その絶頂のLive演奏を切り取ることができた奇跡の1枚でしょう。スタジオ盤を経てこのアルバムで完成した大曲「Kohntarkosz」のクライマックスなんかはまさに神がかりで、正直このアルバムを聴いてしまうと、スタジオ盤の「Kohntarkosz」や「MDK(Mekanik Destruktiw Kommandoh)」を聴く気がなくなってしまいます。それぐらいすごい演奏です。もちろんリマスターのおかげで音圧・分離もUPしています。
ちなみに90年代CDとしてリリースされた際にボーナストラックとして追加された「Emehnteht-Re(スタジオ録音。近年完全版として発表された大曲の抜粋)」と「Da Zeuhl Wortz Mekanik(MDKの後半部分の前半。つまり4分の3部分)」もきっちりこのリマスター盤に収録されています。権利上の問題でこのLive盤はバンドのレーベルであるSeventh以外にもう1社からもリリースされており、そちらにはこの2曲はリリースされていませんので、気を付けましょう。
カタログを見ればわかりますが、Magmaはこの他にもLive音源をスタジオ盤以上にリリースしており、そのどれもが素晴らしい演奏だとは思うのですが、その中でもこのLive盤は内容・音質ともに群を抜いています。もちろん好き嫌いの分かれる音楽なので万人向けとは言えませんが、気に入った人はおそらく一生聴き続ける名盤だと思います。まあ緊張感がありすぎて絶対にBGMとしては聴けませんが(笑)。