メディア掲載レビューほか
かっこいい。デリコのセカンドは、めちゃめちゃかっこよかったファーストよりももっとかっこいい。どこがかっこいいかというと、レイト・シックスティーズしてるからかっこいいんじゃなくて、きちんとレイト・シックスティーズしてるあたりと、ちゃんとレイト・シックスティーズしてないあたりとの、あたりまえなはずのズレのあたりがあたしゃめちゃかっこいいと思ったね。グルーヴィじゃないね。クールだよ、やっぱ。
シックスティーズ、シックスティーズってみんないうけど、かっこいいことはかっこ悪かった時代だよ。にあわないよ。69年なんてさ、幻想しなくていいんだよ。だいたいさ、ばっちいもん。ウッドストックなんてドロだらけだし。みんなゲロはきまくってた時代だったわけだし。そりゃまあ髪にお花かざってヘイト・アシュベリーを歩くKUMIを幻想するのはありだけど。素足でゲロはふまないでしょ。犬のうんこもふまないでしょ。そのあたりがわかれ目ってところかな。
それにレイト・シックスティーズの音って妙にやせほそってるのと不健康に太ってるのとどっちかばっかりなんだけど、デリコのは今風にヘルシー。そして音のプロポーションが抜群にいい。あるべきところに肉がついててひきしまってるところはひきしまってますという音づくり。マラカスなんて昔のひとは間にあわせで鳴らしてたけど、デリコのはプログラムされてたみたいに鳴るもんね。“キた”って感じで。
ま、素材はシックスティーズだけど、まんまシックスティーズしなかったところがデリコなんだね。古着のリメイクで服作ってるブランドが近ごろやたらかっこいいっていうのとおんなじかも。
それにしてもあいかわらずことばのセンスのすごいこと。ことばは触覚でとらえるもんだって思い知らされます。ことばに舐めあげられるっていう感覚が味わえます。ことばってサイケデリックなもんなんだねえ。 (野中映) --- 2002年01月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
洋楽げ(“げ”に傍点)に聴こえるJ-POPの、最先端であると同時に超保守。という離れわざが可能であったことを身(ていうかCD)をもって証明したことが、MY LITTLE LOVERの衣鉢を継ぐこの男女ユニットの功績だろう。それにしても時々お手本に似過ぎとは思うが。
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)