メディア掲載レビューほか
CBSのプロデューサーとして、マイルスやモンクを手がけたマセロは、自身が現代音楽に造詣深い音楽家で、50年代にはミンガスらといくつかのアルバムも残した。かつてのジャズ・ファンは、これらをほとんど無視してきたが、同じプロデューサー/ミュージシャンを目指すアメリカン・クラーヴェのキップ・ハンラハンが、マセロを偉大な先行者とし、その音楽に深い関心を示すのはいかにも自然な気がする。確かにプロデューサーは一見影の存在だが、さまざまに手が入ったマイルス作品の例を持ち出すまでもなく、実は音楽家と同じ表現の場にいて、対等あるいはそれ以上の役割を担うことがある。言ってみればこのアルバムは、そんなマセロの手の内を明かすものかもしれない。収録されたのはコニッツとストリングスとの共演、ミンガスとの冒険的なアンサンブルなど。そして、知ってもらいたいのは、実はこれらは、間違いなく前衛ジャズのミッシング・リングと言っていいものだということ。 (青木和富) --- 2002年01月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)