ガトーが1971年6月、スイスはレマン湖の畔で開かれるモントルージャズフェスティバルのステージでの熱演。アルゼンチンの民族音楽と風土をベースに荒野を吹きすさぶ嵐のようなテナーサウンドで、彼の音楽に引き込んでしまいます。仕掛けはプロデュースのボブ・シールかも知れません。曲はラテンの名曲「ブラジル」を含む4曲。ガトー自身も印象的で愛らしいメロディーを数多く作っているのですが,ソロになったらもう“ガトーワールド”,身を委ねるしかありません。
メンバーも猛者ぞろい。ファンクべースの創始者などと評されるチャック・レイニーが艶っぽさを演出し、ブルースの塊のようなバーナード・パーディのドラムスが砂埃と一緒に舞い上がり,荒野の夜空の星のきらめきのようなロニー“リストン”スミスのピアノ。力強さと繊細さを兼ね備えた天才ナナ・バスコンセロスのパーカッションの5人が織りなすユーフォリアが展開します。フライングダッジマン原盤