∀ガンダムのサウンドトラックでは、エスカフローネやブレンパワードの流れをひく、雄大で重厚なオーケストレーションと幻想的なサウンドが特徴です。特に、ご自身がプロデュースし、またワルシャワ・フィルを起用した一連のサウンドトラックでは、カウボーイビバップで大きな評価を得た(以前から菅野さんを知るひとたちにとっては『何をいまさら』と思ってしまいますが...)菅野よう子さんの自信があちこちにみなぎり、高い完成度の作品ができ上がりました。このCDは、基本的にテレビシリーズの再編集となる劇場版のサウンドトラックですが、新録となるトラックも多く、決して期待を裏切るようなことはありません。∀ガンダムを象徴する、ブラス系、民族楽器系のトラックが比較的多いので、菅野さんの華麗なオーケストレーションを望むファンにとっては、少し物足りないかもしれませんが、「4. Silent prayer」「11. 月のくじら」という曲のほか、あの美しい旋律「Moon」を弦を使って表現した「23. Moon 2」は秀逸。また、ヴォーカル曲「1. AFTER ALL」やGabriela Robinさん(実は菅野さん自身らしい...)による「12. The way to the river」を聴けば、もう文句はないでしょう。さらには、例によって「24. End title ノスタルジーナ」では非常に美しくアルバム全体をまとめているところは、さすがといったところ。この曲がまたすごく繊細であると同時にシリーズ全体を締めくくるにふさわしく、わっと盛り上がるような楽しい曲で、これまでのすべての曲のリプライズまでしてくれるので、大満足です。