サーカスを舞台にした映画では、フェリーニの「道」がありますが、この作品もすばらしいです。特に、旅巡業での火食い芸のシーンは、リカルド・アインホルンの「道」へのオマージュかと思える音楽と相まって、こころに残ります。
ただ、モノクロで進行する現在のシーンは、役者のせいでしょう、ちょっと眠い。思春期の2少女役がすばらしいだけに、すごく惜しい。現在のヘレナにつきまとう少女も魅力に欠ける。
でも、そういった点も、ヘレナの現在を包む、ゼロにも及ばない状況を表すための演出なのだとも思える。漆黒の闇に消えてゆくラスト。出航地への回帰。