九州北部で発生したバスジャック事件。この凶行で生き残った運転手(沢井)と幼い兄妹(直樹と梢)。それぞれが心に深い傷を負い、外の世界に心を閉ざしたまま何年もの時が過ぎる。やがて3人は一緒に暮らすようになり、兄妹の従兄の大学生(秋彦)を含めた4人で再生の旅に出る。だが、再生への途は容易ではない。ラストシーンがモノクロからカラーへ転換するのは、梢と沢井が何かを取り戻したのだと信じたい。
映画「パラダイス・ナウ」の中で登場人物の女性が「日本のミニマリスト映画みたいな人生よ」と言うシーンがあるが、同作のアブ・アサド監督によれば、このミニマリスト映画とはこの「EUREKA(ユリイカ)」を思い浮かべていたんだそうだ。実は「パラダイス・ナウ」を観るまで、私自身、本作について知らなかった。
長年にわたり暴力や抑圧の繰り返しによって、深い傷を負ったパレスチナ人の目からみたとき、この映画は再生への光を感じさせるとか、何か心を打つものがあるのかもしれない。「EUREKA(ユリイカ)」を「ミニマリスト映画」だとする評価は、アブ・アサド以外には見当たらないのだが、彼の言いたいことは、おそらく「無駄な表現を可能な限り排した映画」ということと、外的な事象にはあまり拘らず「人間の内面にのみフォーカスした作品」という意味なのではないかと思った。
ユリイカ(EUREKA) [DVD]
¥4,280 ¥4,280 税込
フォーマット | ワイドスクリーン, ブラック&ホワイト, DTS Stereo |
コントリビュータ | 利重剛, 宮崎将, 青山真治, 宮崎あおい, 光石研, 国生さゆり, 斉藤陽一郎, 松重豊, 役所広司 |
言語 | 日本語 |
稼働時間 | 3 時間 27 分 |
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商品の説明
Amazonより
九州で起きたバス・ジャック事件で、辛くも生き延びたバス運転手・沢井(役所広司)と、乗客の直樹(宮崎将)、梢(宮崎あおい)の姉妹は、2年後に偶然再会したのを機に共同生活を始めるようになる。そこに兄妹の様子を見に来た従兄の秋彦(斉藤陽一郎)が加わり、疑似家族の様相を呈してきた4人は、やがて再びバスに乗って再生の旅に出た…。
2000年のカンヌ国政映画祭で国際批評家連盟賞とエキュメニック賞を受賞した、心に傷をもつ人間たちの再生の旅を描いた青山真治監督の秀作ヒューマンドラマ。3時間37分という長尺ながら、モノクロ映像を駆使して静かに人間をとらえる作者の真摯な眼差しゆえに、じっくりとその世界観に入り込むことができる。九州の方言を巧みに活かすなど、言語を大切にした演出もすばらしい。(的田也寸志)
レビュー
監督・脚本・編集・音楽: 青山真治 プロデューサー: 仙頭武則 撮影: 田村正毅 出演: 役所広司/宮崎あおい/宮崎将/斉藤陽一郎/国生さゆり/光石研/本多哲郎
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)
登録情報
- アスペクト比 : 2.35:1
- メーカーにより製造中止になりました : いいえ
- 言語 : 日本語
- 梱包サイズ : 18.03 x 13.76 x 1.48 cm; 83.16 g
- EAN : 4935228994755
- 監督 : 青山真治
- メディア形式 : ワイドスクリーン, ブラック&ホワイト, DTS Stereo
- 時間 : 3 時間 27 分
- 発売日 : 2002/2/22
- 出演 : 役所広司, 宮崎あおい, 宮崎将, 斉藤陽一郎, 国生さゆり
- 字幕: : 英語, フランス語
- 言語 : 日本語 (DTS 5.1)
- 販売元 : KADOKAWA メディアファクトリー
- ASIN : B00005V28H
- ディスク枚数 : 1
- Amazon 売れ筋ランキング: - 68,903位DVD (DVDの売れ筋ランキングを見る)
- - 3,470位日本のドラマ映画
- カスタマーレビュー:
イメージ付きのレビュー
5 星
DVD「EUREKA ユリイカ」
日本公開は2001年だが、カンヌでの公開は2000年で22年前の作品だ。宮崎あおいは当時まだ14歳だ。DVDは2002年に発売だが現在は廃盤で、2008年に約1000円程値下げされ再リリースされたが、現在では新品を定価で購入するのは入手困難で中古かレンタル落ちが殆どで、稀に新品をネットで見かけるが、中古も含め定価の数倍以上の高値状態が続いている。私も中古DVDをオークションで見つけたが、落札に失敗した経験があり、以降も懲りずに探して、レンタル落ちでも良いかと仕方なく妥協してオークションでやっと入手したが、この映画に興味が無い人間が聞いたらバカげてると言われそうな価格であった。廃盤だと余計に欲しい人も居るので価格も釣り上がるのも分かるが、新品ならアマゾンの方が安い場合もあるかも。私は純粋に映画が見たいだけでネットオークションで落札した事は後悔していない。それよりも転売目的で買う人間が居る方が問題で高値の原因がここにある。この映画はモノクロ映像だがモノクロと云っても通常のモノクロではなくクロマティックB&Wと云う手法でセピアカラーのような映像なので60~70年代の映画を見ているような錯覚に陥る。上映時間は217分(3時間37分)と長尺作品だがそれを感じさせない。VHSビデオ版で発売の物は2本組で、今でもネットで稀に見かける。監督の青山真治氏が今年3月(2022.03.21・57歳)に亡くなり、私よりも若いのに残念。哀悼の意を表します。
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上位レビュー、対象国: 日本
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2022年2月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2023年12月25日に日本でレビュー済み
ただただ切なくて、どうしてこうなっちゃったんだという胸騒ぎをずっと抱えながら見る4時間弱。
役所さんの演技が素晴らしすぎる
役所さんの演技が素晴らしすぎる
2015年10月12日に日本でレビュー済み
これが3時間の長尺を使う内容かよ。1時間ドラマでも間が持たない薄っぺらさだぜ。監督の青山真治ってのは編集センスと
いうものがあるのか? 撮ったら撮っただけ使わないと気が済まんのじゃないのか。前半はバスジャック事件のPTSDとやらで
あっちへ行ってはウジウジ思い悩み、こっちに来てはウジウジ考え込み、そのたんびに退屈な映像の長回しが続く。付き合わされて
いるこっちはたまらんぜ。後半はさすがに作ってる方も飽きて来たのかバスを使っての移動撮影で観光地巡りかい。しゃべっている
会話も意味有りげを装っているが、クソ当たり前なボンクラ会話で、「(刑務所に行った)ナオキを俺は待ってる!」なんてヤクザでも
言ってるセリフだよ。
それにあの咳き込みは何? やることが浮かばないからアクセントのつもりか。これで何かを感じてくれとか考えてくれというのは
おこがましすぎる。作ってる方に胸一杯の思いなり、メッセージが有ればこんな他力本願な撮り方しなくても観る方は自然について
行く。まったく時間を無駄にした。何かありそうなフリをすればカンヌでは賞が獲れる様だ。カンヌの評価は全くアテにならん。
同じ様なタイプなら重松清原作の映画「疾走」の方がよっぽど賞には相応しい。
いうものがあるのか? 撮ったら撮っただけ使わないと気が済まんのじゃないのか。前半はバスジャック事件のPTSDとやらで
あっちへ行ってはウジウジ思い悩み、こっちに来てはウジウジ考え込み、そのたんびに退屈な映像の長回しが続く。付き合わされて
いるこっちはたまらんぜ。後半はさすがに作ってる方も飽きて来たのかバスを使っての移動撮影で観光地巡りかい。しゃべっている
会話も意味有りげを装っているが、クソ当たり前なボンクラ会話で、「(刑務所に行った)ナオキを俺は待ってる!」なんてヤクザでも
言ってるセリフだよ。
それにあの咳き込みは何? やることが浮かばないからアクセントのつもりか。これで何かを感じてくれとか考えてくれというのは
おこがましすぎる。作ってる方に胸一杯の思いなり、メッセージが有ればこんな他力本願な撮り方しなくても観る方は自然について
行く。まったく時間を無駄にした。何かありそうなフリをすればカンヌでは賞が獲れる様だ。カンヌの評価は全くアテにならん。
同じ様なタイプなら重松清原作の映画「疾走」の方がよっぽど賞には相応しい。
2007年4月11日に日本でレビュー済み
この映画の感想を一言でいうなら、タイトルの通り「長い、長すぎる」の一言に尽きます。どんなに長くても2時間半くらいまでなら許せますが、さすがに3時間半は長すぎです。もう少しまとめることは出来なかったのでしょうか。
映像もモノトーンで見づらかったし、あまりお勧めできる映画ではありません。これから見ようと思うっている人にはとにかく長いので覚悟してから見ることを忠告しておきます。
映像もモノトーンで見づらかったし、あまりお勧めできる映画ではありません。これから見ようと思うっている人にはとにかく長いので覚悟してから見ることを忠告しておきます。
2022年7月5日に日本でレビュー済み
日本公開は2001年だが、カンヌでの公開は2000年で22年前の作品だ。宮崎あおいは当時
まだ14歳だ。DVDは2002年に発売だが現在は廃盤で、2008年に約1000円程値下げされ
再リリースされたが、現在では新品を定価で購入するのは入手困難で中古かレンタル落ち
が殆どで、稀に新品をネットで見かけるが、中古も含め定価の数倍以上の高値状態が続い
ている。私も中古DVDをオークションで見つけたが、落札に失敗した経験があり、以降も
懲りずに探して、レンタル落ちでも良いかと仕方なく妥協してオークションでやっと入手
したが、この映画に興味が無い人間が聞いたらバカげてると言われそうな価格であった。
廃盤だと余計に欲しい人も居るので価格も釣り上がるのも分かるが、新品ならアマゾンの
方が安い場合もあるかも。私は純粋に映画が見たいだけでネットオークションで落札した
事は後悔していない。それよりも転売目的で買う人間が居る方が問題で高値の原因がここ
にある。この映画はモノクロ映像だがモノクロと云っても通常のモノクロではなくクロマ
ティックB&Wと云う手法でセピアカラーのような映像なので60~70年代の映画を見てい
るような錯覚に陥る。上映時間は217分(3時間37分)と長尺作品だがそれを感じさせない。
VHSビデオ版で発売の物は2本組で、今でもネットで稀に見かける。監督の青山真治氏が
今年3月(2022.03.21・57歳)に亡くなり、私よりも若いのに残念。哀悼の意を表します。
まだ14歳だ。DVDは2002年に発売だが現在は廃盤で、2008年に約1000円程値下げされ
再リリースされたが、現在では新品を定価で購入するのは入手困難で中古かレンタル落ち
が殆どで、稀に新品をネットで見かけるが、中古も含め定価の数倍以上の高値状態が続い
ている。私も中古DVDをオークションで見つけたが、落札に失敗した経験があり、以降も
懲りずに探して、レンタル落ちでも良いかと仕方なく妥協してオークションでやっと入手
したが、この映画に興味が無い人間が聞いたらバカげてると言われそうな価格であった。
廃盤だと余計に欲しい人も居るので価格も釣り上がるのも分かるが、新品ならアマゾンの
方が安い場合もあるかも。私は純粋に映画が見たいだけでネットオークションで落札した
事は後悔していない。それよりも転売目的で買う人間が居る方が問題で高値の原因がここ
にある。この映画はモノクロ映像だがモノクロと云っても通常のモノクロではなくクロマ
ティックB&Wと云う手法でセピアカラーのような映像なので60~70年代の映画を見てい
るような錯覚に陥る。上映時間は217分(3時間37分)と長尺作品だがそれを感じさせない。
VHSビデオ版で発売の物は2本組で、今でもネットで稀に見かける。監督の青山真治氏が
今年3月(2022.03.21・57歳)に亡くなり、私よりも若いのに残念。哀悼の意を表します。
日本公開は2001年だが、カンヌでの公開は2000年で22年前の作品だ。宮崎あおいは当時
まだ14歳だ。DVDは2002年に発売だが現在は廃盤で、2008年に約1000円程値下げされ
再リリースされたが、現在では新品を定価で購入するのは入手困難で中古かレンタル落ち
が殆どで、稀に新品をネットで見かけるが、中古も含め定価の数倍以上の高値状態が続い
ている。私も中古DVDをオークションで見つけたが、落札に失敗した経験があり、以降も
懲りずに探して、レンタル落ちでも良いかと仕方なく妥協してオークションでやっと入手
したが、この映画に興味が無い人間が聞いたらバカげてると言われそうな価格であった。
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方が安い場合もあるかも。私は純粋に映画が見たいだけでネットオークションで落札した
事は後悔していない。それよりも転売目的で買う人間が居る方が問題で高値の原因がここ
にある。この映画はモノクロ映像だがモノクロと云っても通常のモノクロではなくクロマ
ティックB&Wと云う手法でセピアカラーのような映像なので60~70年代の映画を見てい
るような錯覚に陥る。上映時間は217分(3時間37分)と長尺作品だがそれを感じさせない。
VHSビデオ版で発売の物は2本組で、今でもネットで稀に見かける。監督の青山真治氏が
今年3月(2022.03.21・57歳)に亡くなり、私よりも若いのに残念。哀悼の意を表します。
まだ14歳だ。DVDは2002年に発売だが現在は廃盤で、2008年に約1000円程値下げされ
再リリースされたが、現在では新品を定価で購入するのは入手困難で中古かレンタル落ち
が殆どで、稀に新品をネットで見かけるが、中古も含め定価の数倍以上の高値状態が続い
ている。私も中古DVDをオークションで見つけたが、落札に失敗した経験があり、以降も
懲りずに探して、レンタル落ちでも良いかと仕方なく妥協してオークションでやっと入手
したが、この映画に興味が無い人間が聞いたらバカげてると言われそうな価格であった。
廃盤だと余計に欲しい人も居るので価格も釣り上がるのも分かるが、新品ならアマゾンの
方が安い場合もあるかも。私は純粋に映画が見たいだけでネットオークションで落札した
事は後悔していない。それよりも転売目的で買う人間が居る方が問題で高値の原因がここ
にある。この映画はモノクロ映像だがモノクロと云っても通常のモノクロではなくクロマ
ティックB&Wと云う手法でセピアカラーのような映像なので60~70年代の映画を見てい
るような錯覚に陥る。上映時間は217分(3時間37分)と長尺作品だがそれを感じさせない。
VHSビデオ版で発売の物は2本組で、今でもネットで稀に見かける。監督の青山真治氏が
今年3月(2022.03.21・57歳)に亡くなり、私よりも若いのに残念。哀悼の意を表します。
このレビューの画像
2019年6月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
宮崎あおいの出ている映画はどれも良いと思うけど、この作品はとくにすごい演技。
2020年8月10日に日本でレビュー済み
視聴し始めて尺が相当長いことに気づいた。バス旅に行く前で一旦区切って、翌日、続きを視終えた。ネットで調べると、あの実際のバスジャック事件は映画と同じ2000年に起きたが、映画は事件より前らしい。
殺人現場に居合わせて、自分も殺される可能性があった人達は、PTSDとどう対峙していくのか。類似の経験をした者との心情吐露シーンで、二人とも、現場に居合わせたことで殺人衝動が発動されたと語る。意外で、恐ろしい話である。
出頭後は取り調べを受けるのでバス旅を続けられないはず、といったリアルは捨象されている。映画の感じとしては、夢で見た物語のようなもの。
殺人現場に居合わせて、自分も殺される可能性があった人達は、PTSDとどう対峙していくのか。類似の経験をした者との心情吐露シーンで、二人とも、現場に居合わせたことで殺人衝動が発動されたと語る。意外で、恐ろしい話である。
出頭後は取り調べを受けるのでバス旅を続けられないはず、といったリアルは捨象されている。映画の感じとしては、夢で見た物語のようなもの。
2015年8月27日に日本でレビュー済み
モノクロームに近いセピア色の映像は、下手をすると思わせぶりなだけに見えかねないところ、
登場人物たちの時間が止まってしまったかのような離人症的な感覚を巧みに捉えているように
思えたし、闇の中に不知火を思わせる光が漂う場面など、「まさに映画」としか言いようのない
見事なショットもいくつかあったのだが、その一方で、とくに後半に入ってからのシナリオには
かなり大きな穴があるように見受けられたので、全体としては☆4つとさせてもらった。(本当は
☆3.5ぐらいが妥当だと思うが。)
(★★以下、物語の核心部分が書いてあるので、未見の方は注意してください★★)
多くの観客が似たような感想を抱いたのではないかと思うが、バスジャック事件の被害者兄妹の
兄のほうが、その後起こった連続女性殺人事件の犯人だったという展開には、「・・何それ?」と
正直白けてしまった。少年は沢井の手であっさり警察に突き出されてしまい、犯行の動機が深く
問われることもないのだが、事件で心に傷を負った以上、一転して加害者にもなり得るといった、
「心の闇」みたいな雰囲気を漂わせるだけでは、展開としてやや安易と言わざるを得ないような
気がする。(それ以前に、警察が少年を疑わないのは不自然だし、少なくとも沢井のことは大いに
疑っていたのだから、彼のバスの行先も当然把握していて然るべきだろう。)
次に、兄妹の従兄の秋彦が、「あいつもこれで幸せだったのかも」と何気なく口にしたことで沢井の
逆鱗に触れ、殴られた上であっさりバスから追い出されてしまうのだが、これもいかにも強引過ぎる
展開と言うべきで、ほとんど沢井の人格を疑わせるものがあった。秋彦という人物は、作劇の都合上、
登場させられた面が強いとは思うが(兄妹はPTSDという設定なのか会話ができないので、状況説明
も兼ねて、狂言回し的な人物が必要になったのだろう)、一応は主要人物なのに、沢井と梢が演じる
ラストシーンの邪魔になるから追い出されたとしか思えず、こんな雑な扱いでいいのかという気がして
ならなかった。
最後に、沢井と梢が海を見てから展望台に登るというラストシーンは、あまりにロード・ムービーの
定型に忠実過ぎるというか、正直、これでは何の解決にもなっていないように思えたし、あからさまな
伏線めいた沢井の執拗な咳は何だったのかと、いささか肩透かしを食らったような気分にもなった。
(海を見る場面で、梢が「お兄ちゃん、見える?」と口にするのだが、それほど心が通じ合っているなら、
兄が犯した連続殺人の光景が見えてもよかったのではないかと、つい余計なことを思ってしまった。)
登場人物たちの時間が止まってしまったかのような離人症的な感覚を巧みに捉えているように
思えたし、闇の中に不知火を思わせる光が漂う場面など、「まさに映画」としか言いようのない
見事なショットもいくつかあったのだが、その一方で、とくに後半に入ってからのシナリオには
かなり大きな穴があるように見受けられたので、全体としては☆4つとさせてもらった。(本当は
☆3.5ぐらいが妥当だと思うが。)
(★★以下、物語の核心部分が書いてあるので、未見の方は注意してください★★)
多くの観客が似たような感想を抱いたのではないかと思うが、バスジャック事件の被害者兄妹の
兄のほうが、その後起こった連続女性殺人事件の犯人だったという展開には、「・・何それ?」と
正直白けてしまった。少年は沢井の手であっさり警察に突き出されてしまい、犯行の動機が深く
問われることもないのだが、事件で心に傷を負った以上、一転して加害者にもなり得るといった、
「心の闇」みたいな雰囲気を漂わせるだけでは、展開としてやや安易と言わざるを得ないような
気がする。(それ以前に、警察が少年を疑わないのは不自然だし、少なくとも沢井のことは大いに
疑っていたのだから、彼のバスの行先も当然把握していて然るべきだろう。)
次に、兄妹の従兄の秋彦が、「あいつもこれで幸せだったのかも」と何気なく口にしたことで沢井の
逆鱗に触れ、殴られた上であっさりバスから追い出されてしまうのだが、これもいかにも強引過ぎる
展開と言うべきで、ほとんど沢井の人格を疑わせるものがあった。秋彦という人物は、作劇の都合上、
登場させられた面が強いとは思うが(兄妹はPTSDという設定なのか会話ができないので、状況説明
も兼ねて、狂言回し的な人物が必要になったのだろう)、一応は主要人物なのに、沢井と梢が演じる
ラストシーンの邪魔になるから追い出されたとしか思えず、こんな雑な扱いでいいのかという気がして
ならなかった。
最後に、沢井と梢が海を見てから展望台に登るというラストシーンは、あまりにロード・ムービーの
定型に忠実過ぎるというか、正直、これでは何の解決にもなっていないように思えたし、あからさまな
伏線めいた沢井の執拗な咳は何だったのかと、いささか肩透かしを食らったような気分にもなった。
(海を見る場面で、梢が「お兄ちゃん、見える?」と口にするのだが、それほど心が通じ合っているなら、
兄が犯した連続殺人の光景が見えてもよかったのではないかと、つい余計なことを思ってしまった。)