このCD盤は、SACDハイブリッド盤が普通のCDレコーダーでも再生可能らしいのて、半信半疑で購入してみて音質の素晴らしさに驚かされた。
マタイ受難曲のスタイルを揺るぎないないものにした、リヒター/ミュンヘン・バッハorch&chorの演奏は、始まるやいなや会場全体が哀しみの色一色に染め上げられてしまうのだが、鮮明な再生音のクレンペラー盤ても,それに似ているのが以外だった。多分、フリュート群に主旋律を際立たせている為かも知れない。
また、アリアの伴奏では、男声にはビオラ・ダ・ガンバとチェンバロ、女声にはオ―ボエ・ダ・モ―レ等と古楽器の採用も容易に判った。
リヒターの緊迫したキリストの受難の物語に対して、大洋の潮の流れのように進む、クレンペラーのハイブリッド版は優劣を付け難い名盤と思う(参考にした旧盤はLPレコードで、初期盤とは程遠い盤質も良くない類に属する)。