変態系ギタリストの雄、デヴィッド・フュージンスキー率いるScreaming Headless Torsosが1996年NYで行ったライブを収録したものです。このアルバムを聴く多くの人はアルバム「1995」を聴いたうえで購入していると思いますが、スタジオ盤と同じ土俵で比較すること自体が無理筋だと思います。フュージンスキーのHPではわざわざ「No Overdub」と銘打っているこのアルバムは正直に言って音質も良好とは言えません。その代わり、スタジオ盤で感じられた妙な高揚感が数段アップして感じられます。次の展開がまるで予想できないフュージンスキーにハラハラドキドキできるのもライブならではの楽しみ。なにせ、ディーン・ボウマンのヨーデルヴォイスに度肝を抜かれたのはこのアルバムが最初なのですから。
後になって1996年と2005年のライブを収めたDVDが発売されて(音源は違うはずです)、動く彼らの姿を見られるようになって、このCDの位置づけも微妙になってしまいました。やはり、映像を見せられてしまうと…ですね。だからこれから彼らの音楽に触れようと考えている人はDVDから入ったほうがベターかもしれません。でも、DVD発売までの10年近く、私を楽しませてくれたこのCDの存在には感謝しています。