1958年11月ステレオ録音。ベースがリロイ・ヴィネガー、ドラムスがスタン・リーヴィと名手揃いのトリオ編成。しかし29年にわたってお蔵入りしたままで、ホーズの死後10年してようやくリリースされたという不運なアルバムだ。ジミー・スミスに同名アルバムがあるが、内容はニグロ・スピリチュアルズが中心で、グラント・グリーンの人気盤“Feelin' the Spirit”を思い出す。曲目も4曲が共通する。 全体のイメージは思ったより軽快で明るい。あえて黒っぽさを出そうという意識も感じられない。ファンキー・ブーム初期という時代背景を考えると意外な気もするが、それがかれのスタンスだったのだろう。演奏はホーズのハードバップ・ピアニストぶりがよくあらわれたもので、曲によってブルージーな感覚が自然とにじみ出してくる。ヴィネガーとリーヴィのサポートも軽妙で、素材がスピリチュアルというだけのこと。むしろ時代を超えて楽しめるアプローチと言えるだろう。