とあるキッカケから茂木ミユキさんの存在を知ったのはつい最近なのですが、このアルバムのリリースが2002年ですから、ほぼ15年遅れでやって来た俄(にわか)ファンです。
最初は早く聴きたくてデジタルミュージックで購入したのですが、後からブックレットも読みたくなり、CDアルバムを再購入しました。
そんな訳で、クレジットを見て改めてそのスタッフの豪華さに驚きます。 またこのアルバム、何度聴いても飽きが来ないのですが、その理由の一つには、それぞれのプロデューサーがユニークな方向性を打ち出していて、それがまた思い入れたっぷりに曲を作り込んでいると言う、バリエーションの濃さではないかと感じました。 もちろん、ミユキさんも「みゆ」のペンネームで作詞、作曲をなさっています。
それでは、以下に拙いながら感想を列記します。
1.「Ray of light」、詞が表現している「私」が光を求めてさまよう気持ちと、山口一久さんのメロディーがとてもシンクロしていてインパクトがあります。 けだるいムードの始まりから徐々に盛り上がり、サビでミユキさんの高音域での本領が発揮される構成がとても良く、神秘的なアレンジと相まってアルバムの最初を飾るのにふさわしい曲です。
2.「洪水」に関しては、CDシングルのページに書いておきます。
3.「Fetish」は、ソルヴァイさんの持ち味が全開のポップなメロディーです。 みゆさんの詞は、「僕」が女性をフィギュアの様な人形になぞらえていて、「君」に対する独占欲が切ないほどに現れています。 本間昭光さんのアレンジもシンプルで、オールディズのキッチュな感じを思わせます。
4.「月影歌」、成田忍さんのセンチメンタルなメロディーに乗った叙情的なみゆさんの詞が、独特のおとぎ話的な世界を作り上げています。 Bメロのマイナーから急にメジャーに展開するサビがとても耳に心地よいです。
5.「金木犀の丘」、おそい秋の日の少年の孤独な心象風景が浮かんで来る、そんな作品です。 成田忍さんの曲とアレンジも郷愁を誘い、詞には描かれていない、少年が住んでいた世界に思いを馳せながら聴いています。
6.「さよなら」、本間昭光さんのノリの良い曲とアレンジがGOODで、詞の隅々から、未練を吹っ切ろうとしてもなかなか出来ないでいる「僕」のヘタレな気持ちが良く伝わって来ます。 サビの「さよなら」のメロディーが印象的でした。
7.「鏡の中のfiction」、アルバムで唯一の井上ヨシマサさんのプロデュースで、刹那的なみゆさんの詞とハイトーンで始まるAメロが印象的です。 「lalala...」と共に淡々と歌われる詞の下りなど、他のどの曲にもないスタイルを持っていて、ミユキさんのツンデレ的な魅力が引き出されています。
8.「Slave」、山口一久さんの作曲によるうねる様なAメロが、みゆさんの官能的な詞のムードをガッツリ捉えています。 マニアックな雰囲気にドキドキする、オ・ト・ナの恋の歌です。
9.「all or nothing」、洋楽の人気バンド、「ペット・ショップ・ボーイズ」が提供の曲と言う事で、ミユキさんのポップシンガーとしての魅力が満開です。 訳詞が描くチャラ男のコミカルな苦悩が曲とリズムにうまくマッチしていて、こっちの路線の歌ももっと聴きたいと思いました。
10.「ひとりごと」、ノスタルジックな詞が別れのシーンを浮かび上がらせる、ちょっと70年代のフォークソングを彷彿とさせる曲です。 作曲とアレンジの本間昭光さんもきっとそれを意識なさったのでは? 成田までの道は遠いのに、それが近くに感じられるほど沈黙が長かったと言うのが名シーンです。
11.「秘密」、みゆさんの作詞、作曲です。 男女の微妙な距離感や「僕」のやるせない気持ちがメロディにも反映されていて、物憂げなA、Bメロからサビのリフレインまで耳に心地よく馴染み、本間昭光さんの分厚いアレンジも聞き応えがあります。
12.「Fear」、これもみゆさんの作詞、作曲で、つらぬく様なサビのクライマックスから始まるオープニングが印象的です。 爽やかなメロディーの中に失恋の後の喪失感が隠されていて、それを切々と歌い上げるミユキさんの歌声が際立っています。 成田忍さんのアレンジもシンセサイザーを駆使した浮遊感とストリング・セクションをあしらえた重厚感が両立していて、とてもスムージーな曲に仕上がっています。
13.「HOPE -the other side-」、この曲が収録されているのはデジタルミュージック版のみと言う事になります。 感想はシングルCDのページに書いておきます。
以上、長文にて失礼致しました。