70年代中期に濃厚な物語性とメランコリーでコアなユーザーを獲得していたバークレイ・ジェームズ・ハーベスト(以下BJH)も、初期のアルバムではビート・ロックの尻尾を聴くことができます。彼らがビートルズを敬愛していることは知っていました。加えてバッファロー・スプリングフィールドやバーズのファンであったことがライナーに書かれています。何と言っても電化したモリス・ダンスと言うべき 1. Taking Some Time Onが素晴らしいです。バグパイプを模したエフェクトのギター多重録音、頭打ちのビートに混沌としたミキシング。ノーマン・スミスの仕事では珍しく泥臭さを狙ったエンジニアリングです。
BJHは、プログレッシブ・ロックというカテゴリーには入らないのではないかと自分は思っています。彼らには歌ものの良さを狙った曲が目立ち、その魅力は肩肘はらない聴きやすさです。BJHがアレンジで使う弦楽やメロトロンは、メロディの一部であってラジカリズムで入れているわけではありません。でもわたしは静かな曲より5. Good Love Childのようなビート・ポップを愛してしまいます。このテイストはギターのジョン・リーズのものだったようです。