『J.S.バッハーG線上の幻想』は、シュヴァンクマイエルの原風景なのでしょう。
ひたすら、古い壁、鉄錆びた門扉、錆びた錠前、煉瓦の壁、廃墟の窓を移す。それがとても良い。
鉄錆びた門扉が開いていくだけの映像がありますが、子供ってそういう門扉やドアにいろいろな幻想を抱くものですよね。バケモノ、魑魅魍魎、悪魔の世界・・・何が隠れているんだろうと。
そんな、子供の頃の体験をもとに作品にしたのが、『家での静かな一週間』なのではないでしょうか。
この作品を一言でいうと、”いい年をしたオッサンがスパイごっこをしている。”という内容。
このいい年をしたオッサンが、子供の頃のシュヴァンクマイエルのような気がします。
廃墟に、意味ありげに忍び込み、ドアから覗き見る。
そこには不思議な光景が広がっている。
(映画では、昔懐かしい手回しドリルで穴あけて覗いてますけど)
最後に、ドアに開けた穴に爆薬仕掛けて時限発火装置をセットして、逃げておしまい。
実際に爆発したら遊びになりませんから。
最後の『ジャバウォッキー』は、たのしい子供部屋のおはなし。
なんか黒猫がかわいい。
オープニングに”おしりペンペン”が挿入されています。『アリス』の”くちびるアップ”のナレーションを思いだします。こういうのがシュヴァンクマイエルなんですねー。