響きはまろやかで美しく聴いていて何の抵抗もない。だが、それだけという感じもする。音の響きに内在する作曲者の心情や問題意識が薄く、緊張感に欠けたモーツァルトの演奏に終始しているのではと思う。モーツアルトという枠内にとどまった演奏で、枠を超えることのない音楽のように思われる。耳に快いが心の深部まで入って来ない音の響き。それがヘブラーというピアニストの限界を表しているのでは。そんなところが、リリー・クラウス、グールド、内田といったモーツァルトのスペシャリストの弾くモーツァルトと違うところか。昔から、我が国でのこのピアニストに対する評価が低いのも納得いくような気がする。今後このピアニストの他のCDを聴いていこうか止めようか迷っている。つまり、お風呂に入って聴くモーツァルトなんか面白くない。

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モーツァルト:Pソナタ11他

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