なぜか相性の良い“恋愛もの”と“時間SF”だが、これはその中でも白眉、狂おしいまでの切なさに満ちた名編である。母校で初演を迎えていた新進の劇作家リチャードのもとへ現れた老婦人は、金時計を手渡すと“帰ってきて”という言葉を残し去っていく。数年後、再び母校を訪れたリチャードはその町のホテルで一枚の肖像画に心を奪われる。そこに描かれた美女エリーズは、かつての老婦人の若き日の姿だった。日増しに膨れ上がる“彼女”への想いに苦しむリチャードは、ついに時間の壁を越えエリーズと出会う……。恋する二人の間に障害は付き物だが、これはその障害が“時間”だったというお話。「激突!」や「ヘルハウス」などの恐怖作品で知られるSF怪奇作家R・マシスンが自身の原作を脚色、「JAWS/ジョーズ2」のJ・シュウォークが一世一代の抒情タッチで描き上げた幻想譚。主人公のC・リーヴ、ヒロインのJ・シーモア共に、クラシカルな雰囲気がよく似合っている。