1982年にフランスで結成されたニュー・ウェイヴ、ゴシック・バンドによる、1995年リリースの6枚目。
輸入盤店で偶然見つけた1st12インチ・シングル『The Ballad Of Candy Valentine』(1984年)は、まるで初期バウハウスのような疾走感が実に素晴らしく、特にB面に収められたメドレーのような2曲を何度繰り返し聴いたことか。
本作はタイトル通り、ムカデ脚のテレパシー能力を持つ透明人間の亡霊ジュード・ブラットをモティーフにしたコンセプチュアル・アルバムで、物語性が強かった前作『メタル・フラワー』の国内での成功に気を好くしてかと思われる近似的路線。
オープニングから木管楽器をフィーチュアしてフランス情緒たっぷり、意匠を凝らし創り込み過ぎの感アリアリで、1stシングルのストレートなロックとは程遠いイメージ。
amazonの商品説明にある「CDジャーナル」データベースからの引用、“①などはまったく『ゲゲゲの鬼太郎』のカヴァーかと思わせるほどで”というコピーは、タイトルにこじつけた苦し紛れっぽく、あまり真に受けない方がいい。
ストレートなロック⑥の次に、いきなりフレンチ・ポップ丸出しの⑦があったり、いくつかの曲の前にイマジネーションを喚起する仕掛けを施したり、女性コーラスを入れたり……。
この頃は、ヴォーカル担当ドゥニが独りで引っ張っていた時期で、バンド色が薄まり、初期からのファンとしてはイマイチだが、日本盤では小田島久恵が熱いライナーを書いている。