2018年に行われたサザンの30周年記念ライブ。その序盤で、「“青山通りから鎌倉” って感じで…」という MC とともに、初期の楽曲群がメドレーで披露された。初期サザンが大好きな僕は大熱狂。出る曲出る曲ぜんぶ最高でもう〜。で、そのとき演奏されていた曲のほとんどが収められているのがこのアルバム。初期のバラード系の曲を集めた編集盤で、「いとしのエリー」や「Ya Ya」といったヒット曲も入っている。しかし他の収録曲は、大部分が地味で知名度がない曲ばかりなので、よほどのファンでもないと手は伸びないことが想像される。また発売当時の形態も特殊だった。なんと、まさに世に出たばかりの新発明である CD と、カセットでのみ生産されたのだ。レコード全盛の時代に、レコード盤を作らなかったのである。(そういえば『海のYeah!』よりも20年前にもベスト盤は出ていたのだが、これもカセットのみだった。)このあたりからも、最初からバカ売れなどは放棄していた、かなりマニア向けの変わった商品だったといえそう。もっとも当時のサザンは常にそういうヘンな仕掛けをやっていた。アルバムジャケットもツアータイトルも。Five Rock Show なんてのもあった。しかしそんな変化球だらけのこのアルバム、出来は抜群によい。編集盤に出来がいいなんてのもヘンな話だけど、ホントにいいのでしょうがない(笑)。とにかく選曲がさえていて、ムダに統一感がある(←ほめてます)。思うに、楽曲にも恵まれた時代だったのかも知れない。(個人の感想です)この企画はのちに第2弾、第3弾まで出されているが、僕はこの第1弾(だけ)がずば抜けて素晴らしいと思う。あとの2つは全然聴かないけど、このアルバムだけはいまだに、オリジナル盤をすべて持っているのにもかかわらず、僕は30年以上愛聴し続けている。サザンのアルバムでどれがいい?というのは悩ましい質問だが、もし相手がバンド仲間だったら僕は迷わずこのアルバムをすすめたい。「TSUNAMI」や「I am your singer」とかが好きな人には…すすめないほうがよさそうかな。たぶん。どうかな?- 追記 -いま気づいたんだけど、サザンのメジャーデビューは1978年なのに、このアルバムのタイトル中の年号は「'77」なのね。ややこしいっちゃややこしいけど、バンドの歴史を大切にした感が伝わってきて、僕はちょっと泣ける。デビュー前のサザンの歴史を伺い知ることができる書籍『ロックの子』や『突然ですがキリギリス』は、まるで青春小説のようです。学生ノリサイコー。- さらに追記 -僕がこの作品を知ったのは、友達が貸してくれた編集カセットテープだった。そのテープではなぜかB面の最後に、作品では未収録だった「栞のテーマ」が入っていた。90分テープ(の片面45分)に余りがあったのだろうか。(いま計算してみたら、入れるには1,2分足りないようだ。アナログ製品特有のバッファでなんとかなっていたのだろうか)…そしていまでも僕は、栞のテーマを足して聴いている。しっくりくる(笑)。
5つ星のうち5.0EARLY SONGS BY SAS: BUY IT IF YOU LIKE THEM
2012年8月1日にアメリカ合衆国でレビュー済み
Amazonで購入
Yeah, I love Southern All Stars. I bought the album because I wanted to hear their earlier works before "Tsunami," "Rut of Hope," and "Bye, Bye, my Love." It doesn't disappoint. Good songs, if not as memorable as their greatest, but damned good, listenable, and pure SAS. Living in America, monolingual, and loving Japanese music and culture (among others) is a pain, as I can't translate the lyrics of lots of the songs. At the same time, I love them for their sheer musicality. If there was a fifty CD set of the complete works of Southern All Stars, I would hock my car to buy it. They are probably the greatest rock band still producing. Their songs defy being classified, as the genre and influences are as vast as music is itself.