John Zornは多数のプロジェクトを同時並行で行っている特異なジャズ・ミュージシャンです。
ある本で「パンク・ジャズ」と分類されているのを見たことがあります。
(Weather Reportの"Punk Jazz"とはまったくイメージが違いますが…。)
Zornは一時期スラッシュ・メタルにハマっていたことがあるそうです。
その延長線でか、Naked City, Pain Killerと、
ハードコア寄りのプロジェクトを立て続けに立ち上げました。
Pain KillerのDrは元Napalm DeathのMick Harris。
グラインドコアの祖であるNapalm Deathとジャズ界の鬼才、興味深いタッグです。
しかも、Zornは2012年発表のNapalm Deathのアルバム#Utilitarian#にゲスト参加しています。
ご縁ですね。
BassはBill Laswell。(プログレ人脈の方です。)
彼はアンビエント風な作風の自身のバンド、Materialでも活躍していますが、
Pain Killerでは全く違った音楽をやっていてびっくりです。
音楽性は基本ハードコアですが、Zornのsax奏法のせいか、
ロックとしてのハードコアというよりも、ジャズ的な即興性がウリの実験的音楽です。
ジャズ、プログレ、ハードコアが混在した想像を絶する音楽のように思えるかもしれませんが、
ジャズもプログレもジャンルの壁を乗り越えることに違和感を持たない音楽ですし、
(ジャズ・ロックというジャンル名もありますね)
それらがハードコアを取り入れたからといって、それでジャズでなくなってしまうということもありません。
Napalm Deathファン、John Zornファン、どちらから聴いても聴けると思います。
スタジオ作とは異なるライヴならではの雰囲気も聞き物です。
ゲストに灰野敬二が参加しています。
不失者などのユニットでも有名な方です。
アンダーグラウンドな音楽には違いないですが、類は友を呼ぶのでしょうか。
人脈の広がりを感じる作品です。
ハードコアのシャウトが苦手な方はやめておいた方がよいでしょう。
それが平気な方は、ジャズ的ハードコアとロック的ハードコア(グラインドコア)の違いを比較してみるのも面白いと思います。