「成恵の世界」の面白さのひとつに、成恵っていうキャラクターの面白さがある。明るく単純明快で美少女、っていうヒロインの典型的なパターンから逸脱しているんだけど(根暗で幾重にも屈折してるし可愛いけど美少女じゃない)そこが可愛いんだよね。それは、はじめにも香奈花にもベクトルは違っても共通していて、そこがまた。
第10話「追憶の船」はバチスカーフが主人公の彼女が香奈花のもとに来る以前の話。和人が成恵の誕生日プレゼントを四季とネズミ相手に争奪戦をする第11話「お鼠様に花束を」(アルジャーノンに花束を、とはネズミしか共通点が無いけど)は和人の奮闘ぶりが楽しい。成恵の貧乏性と朝倉鈴の一途さが可愛いお祭り話の第12話「まもってあげたい」は、シリーズのラストにふさわしくハートウォームな出来。ラストの成恵のモノローグと鈴のセリフが泣かせます。このラストで星五つです。
ライナーノーツのおまけ漫画も楽しいし、成る程この頃からアニメ化が動いていたんだな、っていう設定も載ってるのが興味深いです。おまけの曲の「スチール・ハート」は、びみょーにうまくないのが却ってリアリティーあって作品にマッチしてます。はじめはサウンドシネマでは渡辺明乃でアニメでは千葉紗子(歌がうまい人なので、この点で能登麻美子とは釣り合わない様な)なので、この辺、アニメではどうなるんだろう?