カルロス・クライバー指揮によるばらの騎士
クライバーが残した貴重なウィーン国立歌劇場管弦楽団のライブ映像。
フェリシティ・ロットの元帥夫人はとても繊細な襞のある表現かつ、しつこくない歌い方で好感が持てた。
個人的に元帥夫人役としてシュヴァルツコプフのものと比較してもこちらのほうが好きである。
また、元帥夫人とともに物語の中心にくるオクタヴィアン役のアンネ・ソフィー・フォン・オッタ―が
大活躍で、こちらもさっぱりとした歌い方で好感が持てた。
その他にもクルト・モルのオックス男爵役も喜歌劇にふさわしいいかがわしさが楽しめる。
全体的な作品構成もウィーン国立歌劇場の落ち着いた舞台装置に、老練の落ち着いた解釈の
クライバー指揮ぶり、ウィーン国立管弦楽団の奥深い演奏、出演歌手のそれぞれの持ち味を発揮した好演が
この作品を魅力的な作品に仕上げている。
中でもクライバー氏の指揮なくしてはこれだけ素晴らしい「ばらの騎士」は存在しなかったであろう。
音声は、STEREOのみのため、現代のDVDのようなサラウンドはないが、そのほうがかえって
声質やウィーン国立歌劇場のピュアなサウンドが楽しめる。