アヴァンギャルド系アルトサックス奏者、ティム・バーンによる1992年の作品です。メンバーはフランス出身のフリージャズギタリスト、マルク・デュクレとトム・レイニー(ドラム)に加えて、Craig Tabornというキーボード奏者を加えたカルテット構成。プロデューサーは、あのデヴィッド・トーンが担当しています。ほぼ同じメンバー構成で「Big Satan」プロジェクトも同時進行の形で存在しますが、不動のコンビとも言えるバーンとデュクレとの強力なコンビネーションは、このアルバムでもとんでもない破壊力を発揮しています。この2人によるフリーキーなプレイを強力に支えているのが、トム・レイニーのこれまた破壊力満点のドラムも特筆ものです。
前述の「Big Satan」プロジェクトがやや拡散的でアブストラクトな世界を追究しているのに対して、この「Science Friction」は、ひたすらパワーで押しまくるという趣向。バーンが自由奔放に暴れ回り、デュクレの爆音のようなギターも脳天をかち割るようなギター。ひたすらフリーでいながらメンバー全員が一糸乱れぬコンビネーションを発揮するという奇跡のようなプレイにはただ驚くばかりです。同メンバーによるスイスでのライブを収めた「Science Friction Live」でも驚愕のプレイが聴かれます。もちろん、こちらもお勧め。