確か、自分がガキんちょの頃、誕生日にファミコンカセットを
親に強請り、「赤いパッケージのアクションゲーム(名前は忘れた)」
を買って貰う予定が、何故か店頭でこのソフトに惹かれ、
何と内容も何も一切知らないまま買って貰った記憶が有ります。
帰宅後パッケージを開封して、初めて「どうやらRPGらしい」と気付く。
折り畳みの説明書一面に描かれた地図に吃驚。
「この世界を冒険するのか〜〜」とワクワク感が抑えられなかった。
現代アメリカ風味の世界観の中、広大な世界をテクテク歩きながら、
斜めに歩けたり、フィールドからシームレスに街に入ったり、にいちいち驚く。
意味も無く線路沿いを歩いたりしてた。
戦闘後も、敵を「倒した」のでは無く、「我に返った」等の表現に子供心にホッとしたり。
妙にポップな雰囲気の中、ヒネくれた街中の人々の言葉がやたらと印象的。
幼心にドキッとする様な、何か人生の核心を突く様なテキストがそこかしこに散らばってたり。
何で主人公の家にはいつもお父さんは居ないんだろう、と何とも
足元の覚束ない様な不安感だったり、
とある街での子供達との会話に言い知れぬ寂しさを感じたり、
その裏に有る、スティーヴン・キングの作品に通底するかの様な
不気味さだったり。
この感覚、プレイしていて僕は本当に大好きだった。
勿論当時はガキんちょだったから、これは後々振り返っての改めての感想ですが。
そして、音楽。
最早「バックグラウンド」とは表現出来ない、美しいメロディの数々。
オープニングの曲、マジカントでのお城の曲("Wisdom of the world")、
イースターの町の曲、フィールド曲("Pollyanna"、"Bein' Friends")、
そして勿論、Eight Melodies。
実は未だに、これらのメロディを耳にすると、ちょっと涙ぐんでしまう。
懐かしくて、でもそれだけじゃなくて、
心の奥底にある何だか良く分からんあったかいモノを引っ張り出される様な。。。
Eight Melodiesなんて、反則でしょう。この曲は。本当に。
これ聴くと、何故か、息子が生まれたばかりの時を思い出しちゃうんだよなぁ。
何でだろなぁ。
今思い出したけど、当時、このゲームをクリアした時、親も見てる中でクリアして
泣いてる処を見られるのが恥ずかしくて、泣くのを我慢してた。
エンディングで流れる「あの曲」。ずるいよね。
今プレイすると、色々とバランスが取れてなかったり、移動が面倒だったり、
時代性の違いを感じる点があるかも知れません。
エンカウントが多いと感じる方も多分いらっしゃるでしょう。
兎に角フィールドは広大だし、次何処に行けば良いか分からなくなったり。
後半は戦闘もシビアになるし。
けど、リアルタイムでプレイした自分には、少なくともこの作品が
滅茶苦茶胸に突き刺さってるんですよね。
これを超える傑作RPGが恐らく有る事を承知しつつも、
でも自分の中ではこれが一番、というか。
セロテープで継接ぎしてるトコも有りますが、
ファミコンやSFCのカセットで唯一この作品だけ、箱も説明書も何もかも、当時のまま
家に有るんですよね。それ位、好きなんです。
全てのゲームの中で、最も、リアルタイムでプレイ出来た事を嬉しく感じる作品。
僕にとっては、この「MOTHER」がそれに当たります。
あ、もしかしたら、「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」が好きな人には、
少し通じるテキストなんかも有るんじゃないかな、なんて思うんですが。
ちょっと捩れた世界観とか。どうでしょう。
ちょっとでも興味をお持ちの方、GBA版でも何でも、
出来れば一度プレイしてみて欲しいです。