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エフゲニー・キーシンは、このプログラムを組むのに、思いきった選択を行っている。シューマンのピアノ・ソナタ第1番は壮大にしてまとまりのない作品で、うまくまとめて演奏するのが難しく、そのためあまり人気がないのだ。「謝肉祭」はシューマンのよく知られた傑作のひとつで、これまでにも実にさまざまのピアニストがレコード化し、多くの競作を行ってきた。このソナタで、キーシンの演奏は完全な成功を収めている。彼には度量の広さ、構成力、卓越したテクニックがあり、それらが音楽を説得力あるものにし、聴き手の関心を30分以上とどめて飽きさせないのである。「謝肉祭」のほうは、それほど成功しているとは言いがたい。ピアニストの指が素早い動きの部分でときに暴走し、音楽よりもテクニックの誇示と化しているからだ。それでも繰り返し聴いていると、いかによくキーシンがこの曲の大部分を特徴づけているか、またいかによく彼が細部に注意を払って、われわれにシューマンの着想、対旋律がはっきり聴こえるようにしてくれているか、がわかる。 このディスク全体ではAプラスの点は取れないにしても、十分に聴く価値があり、とくにこのソナタをよく知らないシューマン・ファンには必聴である。(Leslie Gerber, Amazon.com)
早いものである。キーシンも30歳を過ぎた。12歳でセンセーショナルなデビューを果たしたかつての神童は、確実に巨匠への道を歩んでいる。今回の新譜は、今後本格的にシューマンに取り組んでいくであろうことが、ヒシヒシとうかがえる意欲的なアルバムである。アクロバティックともいえる異様なまでのテクニックの切れの良さや、心憎いまでの歌心に満ちた歌わせ方は健在。それにも増して多様な楽想のニュアンスのつけ方には終始ゾクゾクさせられる。とりわけ「謝肉祭」は奔放な息吹によって刷新されてしまったような興奮さえおぼえる。「謝肉祭」のイメージが変わる、と言ってもいい。何と溌剌とした創意に富む楽しい世界なのだろう! 併録の「ピアノ・ソナタ第1番」にしても、玄人好みの冴えない曲と思っていたものが、何とも魅力的な作品に聴こえてきてしまう。キーシンはシューマンの秘訣を掴んでいる。新世紀のシューマン演奏の核になることは疑いない。 (斎藤弘美) --- 2002年08月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)音楽的にもテクニック的にもますますの進歩を遂げ、巨匠への道を進みつつあるキーシンが新たに手がけたシューマンのピアノ・ソナタ第1番と「謝肉祭」。彼の一層の音楽的深まりを聴く。 -- 内容(「CDジャーナル」データベースより)