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毎週金曜日に集まり、一緒に食事をするのが恒例になっているメナール一家。エリートの次男ばかりをかわいがる母親(クレール・モーリエ)、父親から食堂を受け継いだものの、甲斐性のない長男のアンリ(ジャン=ピエール・バクリ)は妻に家出され、ちょっとすねた様子。兄たちを見ていて結婚に夢を抱けなくなった妹のベディ(アニエス・ジャウィ)は、アンリの食堂のバーテンのドニ(ジャン=ピエール・ダルッサン)と惰性的な関係を続けている。家族がそろわず、なかなか食事が始められない金曜の夜、取り繕った会話も続かなくなり、これまで溜まった互いに関するわだかまりが一気に噴出、家族の本音が暴かれていく。
6人の家族たちが、互いにののしりあい、朝を迎えてしまうペーソスあふれる密室劇。もともとはアンリ役のジャン=ピエール・バクリとベディ役のアニエス・ジャビィの書き下ろし戯曲で、映画オリジナル・キャストと構成で製作されている。兄弟間のわだかまり、母親から愛されていないのではないかという不満。家族にくすぶる普遍的な思惑が、温かく、時には痛烈にエスプリの効いた会話を通じて描かれていく。こんな夜を迎えるのもいいかも、なんて気にさせる。ちょっとしたひねりや遊びニヤリとさせるところはクラピッシュならでは。1997年、セザール賞最優秀脚本賞ほかを受賞。(茂木直美)
レビュー
『ムッシュ・カステラの恋』の監督・脚本コンビのアニエス・ジャウイ&ジャン=ピエール・バクリによるヒット戯曲を、『猫が行方不明』や『パリの確率』のセドリック・クラピッシュが映画化した作品。ある日の午後にいつも通りに長男が経営する小さな町のカフェに集まった家族の面々を描いた実質一幕ものの小品だが、ジャウイとバクリを含む舞台版とまったく同じキャストによる息の合ったアンサンブルがとにかく見事。そして笑いとペーソスを交えて描き出される登場人物たちの微妙な感情のもつれは、古今東西を問わない普遍的なものだ。仮にフランス映画が苦手という人でもわが国の松竹のいわゆる“大船調”コメディが好きならばすんなりと入り込める世界だろう。 (長谷川町蔵) --- 2002年09月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
製作: シャルル・ガッソ 監督: セドリック・クラピッシュ 脚本・出演: アニエス・ジャウィ 出演: ジャン・ピエール・バクリ/ジャン・ピエール・ダルッサン
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)