レビュー
この7月、細野晴臣が主宰するデイジーワールドから日本デビュー作『JOURNAL FOR PEOPLE』(CD+CDエクストラ)をリリースした映像作家/音楽家の同タイトルDVD作品。海外でリリースした作品や、音響ユニットSILICOMで手がける映像が評判のアーティストだが、噂にたがわぬ才能が発揮された傑作だ。鳥、電線、木を映像のモチーフとし、ピアノと電子音による音楽を合わせた(1)はスティーヴ・ライヒなどのミニマル音楽を連想させるが、あふれんばかりの詩情はきわめて個性的。遊園地のアトラクションとそこに遊ぶ人が眩い光で映される(2)には、なぜか感傷さえ覚える。インドネシアなどで撮影した日の出の光景を用いた(7)も美しい。音楽に温かみがあるのは、プログラミングではなく、楽器を手弾きしたファイルを編集して作ったことが大きいのだろう。なお、NHK教育『美と出会う』のオープニング映像(9)以外は01年10月、六本木のZONEで行なわれた映像インスタレーションで発表されている。 (浅羽晃) --- 2002年10月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)