高難度のアクションゲームです。
ただこの作品は、その言葉から予想されるような超絶テクニックや反射神経を要求される上級者向けのもの
とは性質が違います。
主となる目的は過酷な労働及びある理由で工場に捕らわれている仲間たちを救い出すこと。
で、それを行うのに必要とされるのが「冷静かつ的確な操作」と「攻略法を導き出す論理的思考」です。
まず前者に関しては要するにまず「タイミング」を掴み、それを周囲の状況に惑わされず操作に反映させら
れるかという事で、これはたとえゲーム初心者レベルの方でも不可能なことではない筈です。
後者はこのゲームがパズルアクションに分類される所以でもあり、まず最初に何をすればいいのか、次には
何をしておかなくてはいけないのか、といった「攻略に至る手順」を頭の中で作りあげられるかということ
で、これはむしろゲームスキルが影響する部分ではないといってもいいでしょう。
もちろんそこには数多くの試行錯誤が必要であり、主人公「エイブ」ができることを完全に把握していなく
てはなりません。
この「的確な操作」と「論理的思考」の融合が非常に高い次元で求められるのがこのゲームの特徴なのです
が、お気づきでしょうか、これ、数々のザコ敵やボスの攻撃を巧みに避け攻撃を叩き込む反射神経や、常人
には不可能な高速連打などが条件になっていない事を。
主人公エイブは走り、忍び足で歩き、しゃがみ、転がり、ジャンプするといった身体的動作に加え、仲間と
の会話で彼等の行動を指示することができます。
特徴的なのは彼が持つ「祈り」の力であり、これで敵対キャラクターを乗っ取り操作することができたり、
各ステージにいくつかある特定の場所で「脱出口」を作り仲間を逃がすことができます。
序盤こそ操作を覚える目的も兼ね難度は低いものですが、次第に要求されるレベルは上昇していきます。
中盤からは身体動作を一瞬の隙もなく滑らかに繋ぐことが必須となると同時に、ステージの攻略法も複雑
かつ多岐になっていき、いつどこで誰にどう指示を出すのか、敵を操作するのかはたまたトラップにおびき
寄せるのか、その手順を自ら編み出し一手の狂いもなく実行することがゲームクリアへのただ一つの道と
なります。
難度の高いアクションゲームをプレイしているともう挫折するしかないほど攻略の見当がつかなかったり、
たとえ思いついたとしてもスキルが追いつかなかったりするものですが、この作品の場合はステージ初見
こそ「どうすんだこれ」といった当惑から始まるものの試行錯誤や冷静な分析を重ねるうちに答えは徐々に
姿を現していき、必要となるスキルも的確に行いこそすれば決して実行できないレベルではないことがわか
ってくるでしょう。
無論それでも時には数十回のトライを経なければならないのですが、ゴールは確実に見えている筈。
このゲームはそれを許す無制限のコンティニューが装備されており、アクションゲームである以上後半難度
が上がるにつれ各ステージクリアへの過程は長く複雑になっていくのですが、ひねり出した攻略法を完璧な
操作で実行しクリアへ至った時にはまさにこのゲームの醍醐味を感じることができるでしょう。
「プリンス・オブ・ペルシャ」をご存知の方は共通点が多いためとっつきやすいかと思います。
ただ可能なアクションや攻略のバリエーションはその比ではなく、ペルシャが可愛く思えるほど。
そちらのレビューでも書いたのですが、私は決してアクションゲームが得意な方ではなく、クリアできない
ゲームの方が多いくらいです。
このゲームが最終的な目標としているのは仲間99人の救出です。
これは隠された人数も含んでいるのですが、注意深く地道に探索していけば決して到達できない数字では
ありません(攻略難度は非常に高いですが)。
大変好きなゲームであるためずっとレビューを書こうと思っていたのですが、確認のため初回プレイで99人
救出を達成した昔のクリアデータを探したところショックなことに破損していました。
で、おそらく20年ぶりくらいに再挑戦し、ほとんど記憶が消えていたものの再び無事全員を救い出すことが
できました。
バリバリの現役ゲーマーやスーパープレイヤーではない私のようなリターンヌルジジイでも手が届く目標だ
ということになります。
今回はPS2でプレイしたのですが、ゲームが止まるバグが幾度かありました。
前回は確かPS1だった筈ですがそういった記憶がありません。
環境には個人差があるでしょうが、やはりマメなセーブをオススメします。
もう二度とやりたくない、というステージも少なくありませんのでそんな不具合のせいでやり直すのは結構
地獄です。
以下、参考までに99人クリアを目指す方へのヒントをネタバレせずに書いておきます。
全くの白紙でプレイしたい方は見ない方がいいかもしれません。
・
・
・
・
・
隠し部屋は序盤から中盤に集中しています。
隠し方にはいくつかパターンがあり、入り方が一つ認識できれば続けて見つかる場合もあるでしょう。
入口が低い場合もあるため少しでも怪しいところは転がって探してください。
物陰などの怪しい見た目はもちろんのこと、重要なのは「音」です。
キャラクターの発する音は表示されている画面はもちろんその上下左右一つ隣まで聞こえます。
する筈がない不自然な音が聞こえた場合はあたりの可能性を当たってみてください。
追われて通過せざるを得ない場所も多いのですが、そういったところにはありませんのでご安心を。
ただ再訪できなくなるステージも多く、見逃してしまった仲間は「負傷者」として掲示板に表示されます。
遡って探索するためにもマメにセーブしておいた方がいいでしょう。
序盤では行くことができない場所があったり、途中のムービーで「結局仲間は全部助けられなかった」云々
という台詞がありますが、これはそこまでパーフェクトであってもそうなります。
中盤では掲示板がステージに全くない上、コース毎の隠し部屋の数に法則性がないため非常に不安になり
ますが、その分掲示板で再確認できた時の安堵感は半端ではありません。
ハッピーエンドは99人達成でのみ見ることができ、特典も用意されています。
難度は容赦無く相当上がりますが、きちんと攻略法を探し出し、完璧に操作すれば実現できる筈ですので
是非挑戦してみてください。
成し遂げれば達人になったような気分になること請け合いです。