イルカを主人公にしたアクションゲームで、主な舞台は水中なのだが、上下も含めて主人公が向いている方にカメラが向くし、体が傾けば画面も傾く。ジャンプで体が回転したら画面も回る。イルカなのでスピードが出せるし、スピードを出さなければならない面もある。ジャンプしなければならない面もある。そして酔う。
深さのあるマップも多く、3Dでマップを把握しなければならないので、自分がどっち向いてて目標物がどっちにあるのか、相当に頭が混乱する。重力を体で感じられないので三次元空間の把握が難しい。そして酔う。
ゲーム自体は、謎解きを多く含む面クリア型のアクションアドベンチャー。立てたフラグは死んでも残るし、リトライは容易。
イルカのアクション自体は難しいながらうまく動かせれば爽快だし、当時としては美麗な画面や神秘的な音楽、イルカのリアルかつコミカルな挙動も評価点だが、とにかく酔う。
洋ゲーらしい高難易度も、攻略情報を見ながら1面あたり2時間も粘ればクリアできそうに思えなくもないのだが、3D酔いがそれを不可能にしている。自分は20分が限界でした。時間制限はないので休み休みやればできないことはないのだが、精神がその苦行を拒否している…これは洋ゲーならぬ酔うゲーだ。
大抵の人は、プロローグの1面でイルカを動かしているだけで終わるのではなかろうか。
なぜなら、2面の頭からいきなり戦闘をやらされるからである。このゲーム、ロックオンだの敵を中心にした旋回だの緊急回避だのという便利なものはない。できる攻撃は2面の時点ではタックルのみ、狙いは手動。慣性が働くおかげでろくに目的地に向かって泳ぐことすらできない初心者相手に、一撃では倒せない敵と3対1である。海は初心者お断りの戦場なのだ。
洞窟に入れば肉食魚の群れが群がってくるし、ステージボスは巨大ザメ。実質最初のステージからして海に殺意がみなぎっている。
HPは増やせるのだが、なぜか章ごとに管理されていて新しい章に進むと初期値から。
それに、HPではどうにもならないのが即死攻撃と3D酔いである。また、特筆すべきなのが溺死だ。
このイルカ、イルカのくせにやけに肺活量が少なく、2分に一度くらい息継ぎをしなければいけないのだ。
おかげで敵すらいない最初の面から地形にひっかかって溺死した。現実にも岩にはさまって溺れる間抜けなイルカはいるが、まさか自分で再現する羽目になるとは。
息継ぎできる所もわからない洞窟を探索したり、フルスピードで敵から逃げながら正解の分岐を探し出す面とか、心が折れる…追いつかれると即死。空気を吸えないと溺死。勢いあまって空中に飛び出すと追いつかれて即死。プレイヤー酔って倒れる。
空中の物体に乗り上げて動けなくなった時はシュールさにちょっと和んだ。じたばた。
洋ゲーらしさは難度のみならず、ストーリーの説明にも表れている。
肝心な部分が説明不足で、一体何が起こっているのか分かりづらいのだ。
まず、エコー・ザ・ドルフィンとは、イルカがタイムスリップしたりしながらエイリアンと戦いに行くSFだ、ということを予備知識として知らなければ、何が何だかわからないのではなかろうか。
また、謎の異世界宗教哲学みたいなものがストーリーの根底にあるらしく、何の説明もなくそっち側の用語が出てきて困る。
それでも2章まではたどり着いたが、本体が壊れて続行不能となった。我こそはと思う強者は挑戦して3D酔いと戦ってくれ。そして、イルカが高空から墜落死するという奇怪な出来事を体験してほしい。