Full title - The Only Fun In Town/Sorry For Laughing. Welcome reissue of this classic CD combination of the legendary Scots band's sole Postcard album from 1981, and the unreleased debut set recorded six months earlier. The 22 tracks include 'It's Kind Funny', 'Fun n' Frenzy', 'Sorry for Laughing', 'The Angle', 'Revelation' and 'Endless Soul'. Artwork faithfully reproduces the original inner and outer sleeves, plus full band biography. LTM. 2002.
ポール・ヘイグ（vo、g）、マルコム・ロス（g）が在籍していたスコットランドのギターポップ・バンド、ジョセフKの2枚のアルバム、発売されなかった1st「Sorry for Laughing」（1980年録音）とポストカード・レーベルからリリースされた唯一の公式アルバム「The Only Fun in Town」の全曲を収録。テレヴィジョン等のニューヨーク・パンクに影響されたポストパンク／ニューウェイヴ風のギターポップ
ポストカード・レーベルというと「ネオアコ」という決まり文句が付きまとうが、ジョイ・ディヴィジョンやア・サーテン・レイシオ等、初期ファクトリー勢に通じるカッティング・ギターと引きつったボーカルが特徴的なこのバンド。カフカ「審判」の主人公をバンド名にしたJosef K名義では、なんと2年程しか活動していないものの、今の時代にもその名が響く存在感は大したもので、フランツ・フェルディナンドが影響を受けたフェイバリット・バンドに挙げているという。このバンドが公式に残した唯一のアルバム「ONLY FUN IN TOWN」（81年）に、幻の未発売デビュー盤音源（80年）をカップリングしたのが本作。
ソロになったフロントマン、ポール・ヘイグの方が有名かもしれないが、今回このレビューで僕が注目したいのはギタリストのマルコム・ロス。Josef K解散後、彼は同じポストカード在籍バンドだったオレンジ・ジュースやアズテック・カメラを渡り歩き、所謂「ネオアコ」看板バンド3つの歴史を形作るのに貢献した。特にオレンジ・ジュースの2nd「Rip It Up」の際立った個性は、彼のカッティング・ギターと音色の貢献が大きいのではないかと僕は評価しているのだが、未聴の方は両盤のギターを聴き比べて頂けると面白いはずだ。
Josef Kの音を「ネオアコ」と呼ぶか「ポスト・パンク」と呼ぶかは僕にとっては今更どうでも良いのだが、地味な歌メロ、表現力に欠けるボーカル、少し一本調子な曲調など、本来は星を1つ削りたい欠点も幾つかある。だが、成長・成熟する前の「未完」な状態である点も含め、これが「あの頃」の空気であり、時代の音だった。そんな時代の空気が真空パッケージになっている点で、星は満点付けた。
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