助太刀好きの男助六の痛快助太刀劇である。
全てが痛快である。
全てとは何か。
ナレーションの語り口から人物の口上、スケベ役人の胴真っ二つ、バランバランにぶっ壊れる棺桶、
ちょっと飛躍してるけどまあいいやハッピーエンド、これが全てである。
そしてこの痛快さは小さき宿場にて繰り広げられる。
小さき舞台にて風来の助太刀屋風情が、
母の墓前に一輪の花を発見し、己の出自に遭遇し、
ぼろっくその赤錆まみれのなまくら刀で小役人を敵討つ。
このコンパクトさに岡本喜八テイストが凝縮されて、観客側に小気味よく投げかけられる。
見終わった後に観客がさっさっと総括できるショートスケールの映画である。
だから記憶に残る。
筋書きもまた例にもれずシンプルなので、これまた痛快の栄養剤になってしまう。
またまた痛快。
どこを切り取っても痛快の金太郎飴である。
そしてこれまた変な話だが、どのシーンから再生しても面白い画なんである。
どこから見始めても、画そのものとして味わえる。
フィルムの一コマ一コマが匂い立つようであり、肉感に溢れ、躍動している。
前にも述べたが台詞の面白さが画をいっそう引き立てている。
よくもこんな芸当ができるもんだなあ、と岡本監督の不在を嘆かずにおれなくなる。
私はレンタル屋で助六の予告編を偶然見かけ、
一目でその雰囲気に惚れ込み本編に手を伸ばした手合いだが、本作がそんな奇特な奴でもなきゃ
触れ得ないB級映画扱いされてる現状は、日本映画の損失と同義なんじゃなかろうか。
映画を商業的に盛り上げるのも結構だが、
名作を陰に埋もれさせるほどに偏向し過ぎたコマーシャリズムは、功罪論じるまでもなく罪一色に堕した代物なんじゃないですか。
売れるものは正義だとも思いますけど。
でも私は喜八作品の肩を持ちたい。
余計なお世話か。
皆が知ってくれないほうが楽しめるし。
皆見ないでくれ!
喜八作品は平成の御世にあって、万人に開かれるべき世界ではない。
ファンにのみ開かれた、閉じられた世界であるべきだ。
名作は閉じられていくのだ。
助太刀屋助六 [DVD]
¥2,980 ¥2,980 税込
フォーマット | 色, ドルビー |
コントリビュータ | 真田広之, 風間トオル, 鈴木京香, 鶴見辰吾, 岡本喜八, 村田雄浩 |
言語 | 日本語 |
稼働時間 | 1 時間 28 分 |
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商品の説明
Amazonより
仇討ちに加勢する助太刀屋稼業にハマり、「助太刀屋助六」を自称する主人公(真田広之)が、生まれ故郷の上州に帰ってくる。時あたかも脇屋新九郎(鶴見辰吾)と妻木涌之助(風間トオル)が兄の仇討ちをしようとするところで早速売り込む助六だが、あっさりと断られてしまう。仇討ちの検分役である関八州取締出役・榊原織部(岸部一徳)が到着し、仇討ちが始まる。脇屋たちの仇である侍の片倉梅太郎(仲代達矢)は斬られ仇討ちは終わるが、実は彼こそ助六の父親だった。
終始ハイテンションな真田広之が、画面狭しと飛び、跳ね、駆け回り、この時代劇アクション・コメディーを強引なまでに引きずり回す。90分弱といったコンパクトな上映時間に、岡本監督得意の軽快な演出と、芸達者な俳優陣の、ひとくせありそうな演技が詰まっている佳作。冒頭の仇討ちシーンにちらと顔を出す、岡本作品常連の怪優・天本英世の不気味さが目を引くが、彼にとってこれが最後の岡本作品出演となってしまった。(斉藤守彦)
レビュー
監督・脚本: 岡本喜八 原作: 生田大作 撮影: 加藤雄大 美術: 西岡善信 照明: 中岡源権 録音: 横野一氏工 調音: 神保小四郎 編集: 川島章正 音楽: 山下洋輔 和太鼓: 林英哲 出演: 真田広之/鈴木京香/村田雄浩/鶴見辰吾/風間トオル/本田博太郎/友居達彦/山本奈々/岸部一徳/岸田今日子/小林桂樹/仲代達矢
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)
登録情報
- アスペクト比 : 1.33:1
- メーカーにより製造中止になりました : いいえ
- 言語 : 日本語
- EAN : 4988021114844
- 監督 : 岡本喜八
- メディア形式 : 色, ドルビー
- 時間 : 1 時間 28 分
- 発売日 : 2002/8/21
- 出演 : 真田広之, 鈴木京香, 村田雄浩, 鶴見辰吾, 風間トオル
- 言語 : 日本語 (Dolby Digital 2.0 Stereo)
- 販売元 : バップ
- ASIN : B00006AUY9
- ディスク枚数 : 1
- Amazon 売れ筋ランキング: - 100,547位DVD (DVDの売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年5月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2015年5月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
鈴木京香のオテンバぶりも面白い。真田広之は細かい所で動きがカッコイイ。内容はちょっとしたコメディで笑えました。
2013年3月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
真田広之さん、こんな作品もやっていたんですねぇ。
色々作品を検索して映像などを見つけ、「これは面白そう」と思ったのが大正解!
難しい設定など一切ない、ただただ目の前の助六から目が離せない。
コミカルな動きも、本気の殺陣も、真田さんならではの軽妙さ、カッコ良さで魅せてくれる。
故郷に戻った助六が、助太刀の予行演習(?)をする一人芝居のシーンが好きだ。
メイキング映像にこのシーンがずっと長回しで撮られている映像が入っていて、こちらも思わず唸ってしまった。
そこに映り、動き、走り回っているのは、紛れもなく「助六」だったから。
ジャズが驚くほど作品にハマっていて、和太鼓と笛の軽快なリズムと音色も耳に心地良い。
劇中でも皆に愛された助六。監督や作る人すべての、助六への愛がほとばしる作品だった。
個人的に真田さんの太もも出してる衣装(時代劇の)が好きなので、そこもたっぷり堪能できて嬉しい。
けんけんぱをする助六がかわいい^^
色々作品を検索して映像などを見つけ、「これは面白そう」と思ったのが大正解!
難しい設定など一切ない、ただただ目の前の助六から目が離せない。
コミカルな動きも、本気の殺陣も、真田さんならではの軽妙さ、カッコ良さで魅せてくれる。
故郷に戻った助六が、助太刀の予行演習(?)をする一人芝居のシーンが好きだ。
メイキング映像にこのシーンがずっと長回しで撮られている映像が入っていて、こちらも思わず唸ってしまった。
そこに映り、動き、走り回っているのは、紛れもなく「助六」だったから。
ジャズが驚くほど作品にハマっていて、和太鼓と笛の軽快なリズムと音色も耳に心地良い。
劇中でも皆に愛された助六。監督や作る人すべての、助六への愛がほとばしる作品だった。
個人的に真田さんの太もも出してる衣装(時代劇の)が好きなので、そこもたっぷり堪能できて嬉しい。
けんけんぱをする助六がかわいい^^
2019年9月2日に日本でレビュー済み
ほとんどの監督の晩年の作品は、つまらないモノですが、この映画は違いました。
撮影の構図、カメラワーク、編集、役者の動き、セリフ回し、すべてが緻密に計算しコントロールしている事がまず初めに驚きます。適当に撮ったカットが全くありません!
そして、そのすべての映画の構成要素が音楽的な快楽性に満ちていて、見ていて気持ちがいいです!
70歳代のおじいちゃんが作った映画とは思えない、全く演出の衰えを感じさせない若さ溢れる映画です!
撮影の構図、カメラワーク、編集、役者の動き、セリフ回し、すべてが緻密に計算しコントロールしている事がまず初めに驚きます。適当に撮ったカットが全くありません!
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70歳代のおじいちゃんが作った映画とは思えない、全く演出の衰えを感じさせない若さ溢れる映画です!
2021年1月24日に日本でレビュー済み
仇討ちの助太刀で金を稼ぐ男が故郷に帰ると、たまたま仇討の場に出くわし。。。
いい意味で軽い映画。真田広之がうまい具合いに合ってる。
ただ、豪華キャストのわりにこの軽さはどうかという感じもしないではない。
いい意味で軽い映画。真田広之がうまい具合いに合ってる。
ただ、豪華キャストのわりにこの軽さはどうかという感じもしないではない。
2003年6月18日に日本でレビュー済み
テーマ自体は「仇討ち」という少々湿っぽくなりがちなストーリーを腰の軽い主人公で軽快に描いていく流れはテンポもよく好感がもてますが、締めるところは締めておいた方が良かったのではないかと思います。テンポが一定すぎるとストーリー自体が軽く感じられてしまいます。
2014年6月22日に日本でレビュー済み
最後の岡本喜八劇場。不自由な身体を押して作った痛々しさが長年の喜八ファンにはつらい。小林桂樹にセリフがなく、監督の分身ということのようだが、社長シリーズから「椿三十郎」「日本沈没」と口跡の良い人物を演じていた人だけに、これもつらい。若く明るい真田広之や鈴木京香がなかなかいいだけに、老いて身体が壊れてゆく無常にばかり気がいって、画面に集中できなかった。でも、幸せな気分になれる岡本喜八らしい作品です。
9年前岡本監督が亡くなったニュースに涙が出たことを思い出す。本当にいろいろな独特の映画で長い間楽しませてくれた異才の人。東宝カラーを体現する映画監督。戦争体験者としての重いメッセージ(「反戦平和」なんていう単純で薄っぺらいものではない)を紋切り型でなく作品に込めて来た喜八さん。あなたの作品は昭和の懐かしい記憶とつながっています。ありがとうございました。
9年前岡本監督が亡くなったニュースに涙が出たことを思い出す。本当にいろいろな独特の映画で長い間楽しませてくれた異才の人。東宝カラーを体現する映画監督。戦争体験者としての重いメッセージ(「反戦平和」なんていう単純で薄っぺらいものではない)を紋切り型でなく作品に込めて来た喜八さん。あなたの作品は昭和の懐かしい記憶とつながっています。ありがとうございました。
2021年4月30日に日本でレビュー済み
そんなに長くないし、軽いノリの映画。戦争物の「独立愚連隊」のような位置づけか? 見終わった感じもいい。弔う念仏が「南無阿弥陀仏」じゃなくて「南無妙法蓮華経」であったのは、岡本監督は日蓮宗門徒だったのか? これは監督の遺作であり合掌。