はっきりいって「Miles in the Sky」と比べて、激しいアドリブも無く地味ではあるが、どうも意識して静かに聴けるアルバムを念頭に作ったようなので当然かも。ちなみに次作「In a Silent Way」でロックを全面的に取り入れる事から、マイルス最後のジャズ・アルバムともいえます。
1曲目「Frelon Brun」はチックとホランドの加入が目玉だが、実際の聴き所は安定感のあるウェインのサックスで、言われるようにチックのエレピは安いMidiのようなチャチな音色で存在感なしです…。
「Tout de Suite」は沈む月明かりに寄り添うようなマイルスとウェインのホーンが美しく、ハンコックの作り出すリズムもエレピならではです。
このアルバムは初の全曲マイルス作となってるが、「Petits Machins」の完成度の高さはどうもアレンジを手掛けたであろうギル・エバンスの手が多く入っているのでは?と思う。リズムも新しく素直に格好良い曲、たしかジャコ・パストリアスが自分のビッグバンドのテーマに取り上げてたはず。
「Filles de Kilimanjaro」と「Mademoiselle Mobry」も何ともアンニュイな佳曲です。
あとロンの弾くエレベは巷でいわれるほど悪くないと思います、気のせいかトニーやハービーの演奏が自分の活動をしたくてウズウズしてるようにも聴こえますが…。
CTI系(アーバン・フュージョン)っぽい静かな作品で、緊張感なく寝る前などに聴くとリラックスできるので、意外と良く聴くアルバムです!