バルトークはわかりやすい作曲家ではない。バロックから古典、ロマン派、シェーンベルクから
始まる12音など。曲を聴いて、「好き・嫌い」「退屈・面白い」を感じたとしても、”これは
何だろう”と思うことは少ない。
しかしバルトークの作品は、確かに一流の洗練されたオーケストレーションが施された曲なの
だろうが、”一体これは何を表現しているのか? どう受け止めらたらいいのか?”。そういう
思いが去来する。
コリン・ウィルソンも『コリン・ウィルソン音楽を語る』のなかで1章を割き、バルトークに
ついて論じている。ウィルソンはこう書き出す。「20世紀の主要作曲家の中で、バルトークは、
最も評価しにくい」。
だが、ギル・シャハムのヴァイオリンで聴く「ヴァイオリン協奏曲第2番」とラプソディ2曲は、
シャハムの屈託のない、よく響くヴァイオリンと、すっきりと見通しのいいブーレーズ指揮の
管弦楽で、親しみやすい音楽として現れてくる。