Amazonより
臼井儀人原作のTVアニメの、2001年公開の劇場版第9作。
突如出現したテーマパーク「20世紀博」で、大人たちは現実の生活を投げ出し、童心にかえって楽しんでいた。だがその裏には、絶望の21世紀を捨て、希望に満ち溢れていた20世紀を永遠に存続させようとする、秘密結社イエスタデイ・ワンスモアの計画があった。このままずっと20世紀が続くかに思えたその時、未来を守り、21世紀を生きるため、しんのすけが立ち上がる。
ファーストカットは太陽の塔だわ、ひろしは半生を振り返るわ豆腐屋のラッパは夕暮れの商店街に鳴り響くわと、子ども向け作品なのに大人のための見どころ満載で、いい歳した映画ファンがこぞって号泣、映画秘宝誌にいたっては年間第1位にまで選んでしまった大傑作。一緒に観てるパパママが泣く理由を知りたいちびっ子は、大人になったらもう一度観てみよう。(田中 元)
レビュー
意外や、劇場版『クレしん』初のDVD化。もちろん、VHSではレンタル高回転率を誇る『しんちゃん』シリーズだが、高画質で繰り返し楽しめる(でもって、ちょっとカルトな)作品という点でこのオトナ帝国が選ばれたのだろう。2001年春の公開時から、子供よりも大人の間で話題となった一本。しんちゃんのパパとママの世代が保育園~小学生だった頃の70年、大阪万博(太陽の塔!)を象徴とするあのころの懐かしネタあれこれがマニアックに詰め込まれている。ウルトラマンから魔法使いサリー、オート三輪にフェアレディZ、挿入歌がベッツイ&クリスの「白い色は恋人の色」と吉田拓郎の「今日までそして明日から」で、悪役男女の名前がケン&チャコ(津嘉山正種と小林愛による“声”がまたあの時代の雰囲気濃厚)ってんだから、これだけでもうオトーサン号泣もんでしょう。DVDではこれらディテイルをじっくり探しながら味わうというのが第一(昭和40年代の下町を再現した箇所など特に念入りにね!)。そのうえで、そんなノスタルジーに埋没することなくいまを生きろというメッセージを、おたく世代の親は子供たちから教えてもらうわけなのだ。カー・チェイスや終盤の鉄塔上のはらはらシーンまで映画的な見どころも多し。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を、日本の風俗史に則らせて、日本が誇るアニメというカウンター・カルチャー(そ、70年代までアニメは対抗文化だったんです)を用いて換骨奪胎した娯楽大作といえるだろう。\しかしまあ、これはやはり、『クレしん』では異色作で、もう一本のほうが本線。アクション仮面はTVシリーズから生まれたサブ・キャラクターだが、本作(初の劇場版)ではメインに。正統的なヒーローものにして、ハイレグ、もとい、ハイグレ魔王やTバック男爵ら間抜けなエロ・キャラ続出。正義とエッチがやはり子供の、いや人間の基本てことです。 (大須賀猛) --- 2003年01月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
監督・脚本: 原恵一 原作: 臼井儀人 声の出演: 矢島晶子/ならはしみき/藤原啓治/こおろぎさとみ/真柴摩利/林玉緒/佐藤智恵/一龍斎貞友/津嘉山正種/小林愛
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)