レビュー
戸川純、という名前でイメージされる像を世に定着させたのはソロでもゲルニカでもなく、間違いなくヤプーズだろう。ソロ・デビュー後のライヴ・バンド構成員だったヤプーズが戸川自身のバンドに発展、定着するや、数々の作品をもって戸川というセクシュアルで不安定な魅力あふれる人物を世に知らしめた。本作はヤプーズ期の戸川を知るには最も適した資料となる88年作のDVD化。ライヴとクリップの影像が交錯する、80年代的センスが少し恥ずかしくも快い凝った作りで、歌って踊って倒れて叫ぶ、コケットながら危うい戸川を満悦できる。今回の再発に際して個人名義でのカヴァー曲を含む2曲のクリップも収録。歌唱も演出もシアトリカルだけど、やっぱり可愛いんだよなぁ。 (村瀬健二) --- 2003年02月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)