レビュー
セレクト眼には定評ある、このパイオニア世界アニメ・シリーズ。『チェブラーシカ』で有名なロシア製アニメーション、とはいえ、今回は人形のコマ撮りはなし。ロシア国立連邦動画スタジオ出身、異才二人の作品集ながら、その作風は水と油。パッケージなどで和やかな印象を誘う、子供も大人も楽しめるエドゥアールド・ナザーロフ作品は、いわば民芸品風味。これが中盤以降、アンドレイ・フルジャーノフスキー作品になると、モンティ・パイソンも真っ青の、シュールで皮肉なテイスト全開に。反体制とシュールレアリスムの関係に、1930年代ロシア・アヴァンギャルドからの伝統が透けて見える。とはいえ、両作品ともウォッカのように、その妙味が深く臓腑に染み入る一品。 (鷺沼晶良) --- 2003年01月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)