70年代、日本のロックシーンをリードした音楽集団「四人囃子」が1973年の8月、六本木の俳優座で行ったライブを収録したものです。2001年にライブ・アーカイヴが発売されるまで、彼らのライブ音源に触れることができる唯一のアルバムでした。ライナーによれば、東宝レコードの編成会議の資料用として録音されたもので、オリジナルはメンバーの了解も得ないで1978年に突如発売されたとか。森園氏を始め、メンバーはかなり悔しい思いをしたそうですが、結果として我々は貴重な音源に触れることができるわけです。
2001年には廃盤状態だった音源がリマスターされて音質も格段に向上したばかりでなく、これまで未収録だった「泳ぐなネッシー」が追加されて再発売されました。驚くべきはメンバーの当時の年齢が19歳だったという事実です。弱冠19歳にして、これだけの作曲能力と完成されたパフォーマンスを見せたバンドは、後にも先にも四人囃子だけでしょう。オープニングの「おまつり」で幻想的な世界を聴かせてくれたと思ったら、続く「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」でのプログレ的アプローチに転じる展開はいま聴き直しても驚くほどです。
いま考えれば演奏技術や録音レベルなど、未熟な部分もさすがに目立ちますが、30年以上も前にこんな優れた音楽集団が日本に存在したこと自体が驚きです。