エディー・ヘンダーソンは一風変わったプレーヤです。プレイもさることながら、医師免許持ってたらしいですから。
特に70年代の「スペイシー」と形容されていた、あの独特のトーンは忘れられません。何か、夜中に山奥でこっそり周りを伺いながら夜空に向かってトランペット吹いているような風情が漂っていました。そして木の葉のざわめきのようなハンコックのフェンダーローズが絡めば、もうエディーヘンダーソンの世界です。特にメロディックであるわけでもなく、完全にフリーと言うわけでもないのですが、独特の味がありました。
そんな彼の初期の2つのアルバム"REALIZATION"と"INSIDE OUT"がカップリングされているのが当アンソロジーです。
当時のアメリカ黒人の公民権運動やアイデンティティー確立のためのアフリカ回帰の風潮の中、当アルバムに参加している黒人ミュージシャンはみんなアフリカ名を持っていました。エディー・ヘンダーソンはマガンガ(MAGANGA)と名乗り、ハービー・ハンコックはムワディシ(MWADISHI)と名乗っていました。ハンコックはそれをそのままアルバムタイトルにまでしていました。そんな時代だったんですね。
(まさかエディー・ヘンダーソンのアンソロジーが出るとは思いませんでした。しかもこれはvol.2です。クラブネタにでもなっているのでしょうか?)