68年発表の4作目。オリジナル・アルバムとしては最後となった作品。大半の曲をハグとダボが手掛けており、主導権がこの2人に移っているようにも思えるが、楽曲のバラエティは前作より幅広く、そしてアレンジはより一層華やかになっており、初期のR&Bの王道を行っていた彼らからは想像も付かないサウンドに変化している。特にメロトロンの使用頻度が高まっており、そのサウンドが好きな人は特にお薦めである。
1.はライヴの歓声まで導入して乱痴気騒ぎ風に盛り上げる楽しい曲。軽快なピアノと共に彼らにしては珍しくハードなギターが登場する。2.はメロトロンとピアノをバッキングに使ったサイケ・ポップ調の佳曲。かなり高速にメロトロンを弾き倒すアレンジはこの楽器を特性を考えれば非常に珍しい。3.はチェンバロ入りのサイケ・バラード。こちらもメロトロンのフルートがいい味を出しており、どことなく全盛期のニルヴァーナを思わせる美しい曲である。4.はこの時代の典型的なビート・ポップだが、ヴィブラホンがいいアクセントになっている。5.はスモ−ル・フェイセスがどっぷりサイケ・ポッブをやったかのような佳曲。輪唱を取り入れたバック・コーラスも効果的だ。
凝ったアレンジを聞かせる曲が多いが、凝り過ぎていないセンスの良さはある。楽曲も選りすぐりのものであり、本作がこの時代の名盤の一つであることは間違いない。ちなみに本作は英米でタイトルと内容が異なり、米盤は『Mighty Quinn』として発表されている。
本作発表後、マンとハグは別グループであるエマノンとしてライヴ活動を行ない、69年のマンフレッド・マン解散を期にそのグルーブをマンフレッド・マン・チャプター・スリーと名義を変更。パーマネントなグループとして活動していった。