オリジナル・アナログは、1973年10月リリース。
URCでのラスト、通算3枚目のアルバム。
初のAB面オール・ソロのライヴ盤。
前作に続き、ミキサーは吉野金次で、音がスゲー良かった憶えあり。
本CDのリ・マスタリングは、小池光夫。
何か、おとなしくなってしまっているような気がするのは、文字通り、気のせいか?
渋谷ジャンジャン、名古屋勤労会館小ホール、豊田勤労会館ホール、お茶の水日仏会館で収録。
盟友中川イサトが、アコギ、ドブロ、スライド・ギター、ピアノで活躍。
良さん自身もアコギは勿論、ピアノの弾き語りも披露。
普通、ライヴ盤は、過去にリリースしたアルバムからのヒット、馴染み、人気のあるナンバーなどを演奏しがちだが、全10曲すべて過去にレコーディングされていない曲ばかり。
1「大晦日」のシンプルだが力強いピアノ、シニカルな歌詞、加川節と言われた独得の歌い方がマル!
2「 夜汽車に乗って」は、当時、一年中Tシャツ1枚で過ごしたというシバ(『ガロ』なんかに描いていた漫画家みつはしまこと)のカヴァー。地味だけど、しんみりしていて、アルバム2曲目に持ってくるのに、ぴったり。
アルバム2曲目って、ミュージシャンの本質が如実に表れてしまうケースが多々あるので、本作に限らず、着目を。
3「フォーク・シンガー」は、前半のハイライト。
加川良流トーキング・ブルース。詞が、なぎら健壱並みにユニーク!
4「百円札」の原曲はアメリカ民謡だが、イサトさんのドブロ・ギターがたっぷり楽しめる。
コミカルな6「小指ちゃん」は、英国人とのハーフであるシンガー、ソング&ライター、ヘンリー・ドレナン(谷啓が別曲をカヴァー)が作詞、作曲。
別にどうってことはない小曲だが、受けているなあ。
特に、女性の笑い声が、しっかり入っている。
ユーモアたっぷりの毒を混ぜ、スピーディに展開する8「東京」、生活感あふれ、愚痴とも思える意味ではブルースそのものの9「精一杯」を経て、祈りに似た10「流行歌」で、余韻を残しながら終了。
この時期、加川良、友部正人のレコード化されていない名曲が、結構ある。
本ツアー時の別曲ばかり集めたpart2を、強く希望!