グランド・ファンクは罪つくりなバンドで、ライブを聴いてからスタジオ録音を聴くとどうにも調子が狂うのです。「キッス・アライブ」のあとに「キッス・ファースト」を、「ライブ・イン・ジャパン」のあとに「マシンヘッド」を聴いたときの感じのように。「コート・イン・ジ・アクト」のスピード感と比べると1. Shinin' On の旗色はどうにも悪いです。オルガン・ソロのとても恰好いい曲であるんですが。
それはともかく、意地悪い言い方をすればテリー・ナイトは所詮マネージャーでしかなかったんでしょう。トッド・ラングレンと出会って以降の重要な変化は、彼らがソウル好きを隠さなくなったこと。もともとマーク・ファーナーの声はゴスペルの影響が大きいと思っています。 5. Please Me や2. To Get Back Inは、ブラック・チャートに乗っても全然違和感ありません。そのへんが当時ハードロック・ユーザーに受け入れられなかった要素ではないかと思います。豪放磊落な激しさがない代わり、彼らの内面の熱さを知れる盤です。
ボーナスの9. Destitute And Losin' が素晴らしいです。ファーナーの声も暗黒のギターも枯れたオルガンも。優等生っぽかったグランド・ファンクでもこういう夜の曲をやるんだ、と新鮮でした。