前作 レインボーマン では キリスト教とユダヤ教の対立を参照したプロットに思えました。愛の戦士の敵は憎しみの戦士、死ね死ね団でした。両者とも胸に十字架を付け、キリストvsアンチキリストの構図が描かれていたと思われます。
ダイアモンドアイを視聴して驚愕できたことは、レインボーマンで強調された孤独な自力の戦いに加え、補完するかのように、他力とは何か?救いを求めるとは何かが強調されているように思いました。主人公が変身しない特異なヒーロー作品であり、ギリギリまで自力で戦い、どこで他力としてのダイヤモンドアイを召喚するのか?というせめぎ合いを味わうことができます。イスラム教では現人神を認めず、神の下における万民の平等を重視するようです。なので、アラブからの使者、ダイアモンドアイは人と一体化して現人神になることはできず、のび太、にとってのドラえもん、のように、他力として主人公を助けるのでした。 アラブ、中東を視野に入れた、さらに中国の陰謀組織をも加味した、全体的に音楽センスも優れ、渋い大人のクールな作品に仕上がっていると思います。ヘンリー キッシンジャーすらも唸らせた 川内 康範の知見の広さと深さが行き渡っている作品であると思いました。