1990年代後半に盛り上がった深夜枠TVホラーブーム、これを代表するヒット作・佐伯日菜子版『エコエコアザラク』の劇場版。タイトルに『III』とあるんですが、TVシリーズ制作以前の前2作はキャストが異なるため、佐伯版黒井ミサの劇場版はこの一作のみ。まことに残念であります。
さて、その出来ですが…一回20分少々のTVシリーズでは許容範囲、むしろ独特の味わいとなっていた唐突な展開やチープなオカルト描写、出演者の稚拙な演技が、90分のボリュームで見せられるとかなり辛い。儀式のいけにえとして美少女たちが一人また一人と惨殺されていくというベタなスプラッター系オカルト映画なのですが、TVシリーズ未視聴の方々には説明不足な描写も多く、深夜枠ドラマ気分で90分スペシャルを撮っちゃったという感じです。演出、脚本共にTVシリーズからの起用ですが、これは人選を誤ったかな?
厳しい感想になりましたが、20年近くが経ってもベスト・オブ・黒井ミサの座を譲らない佐伯さんをはじめ、デビュー当時のまだ10代の三輪ひとみさんの目を瞠るほどの美しさ、メインヒロイン七海彩夏さんの熱演等々、90年代深夜枠TVホラーをじかに知る当時の視聴者にはたまらない、ノスタルジーそのものの一作。