ここまで声域を広げるとは。デビュー・アルバムPrison of Desireの頃からヴォーカリストとして飛躍的な成長を遂げたフロール・ヤンセンの圧倒的なパフォーマンスに驚きを隠せなかった。
女性ソプラノVo.、男性デスVo.による掛合い。これは数多くのゴシック・メタルで見られる様式だが、独自の解釈を加えたサウンド・スケープを描き、ありきたりのスタイルに終わらせない。After Foreverが広く認められたのも納得。
ヨーロッパとアラビアの哀愁を融合させたゴージャスでダイナミックな大作=My Pledge of Allegiance 1。フロール、男性クリーンVo.のハーモニーが素晴らしいミュージカル風のImperfect Tenses。2曲とも、演劇に仕立てあげたらさぞ面白いだろうと思える内容だ。ストーリー性があり、聴く人の想像力をかきたてる。
曲一つ一つにおいてもそうだが、AFは、アルバムの構成自体にもかなり神経を使っている。音楽制作者の真剣な姿が伝わってくれば伝わってくるほど、その作品と向き合う自分の熱意もグンと増す。あの手この手でリスナーを楽しませるAFの巧者ぶりへ対する尊敬の念は、今も揺らぐことがない。