【本作について】
付属の簡易解説によると、本作は、ポール・チェンバースが若くして亡くなった後、1970年に追悼盤として出された編集物らしい。道理で一曲目、「アーマッズ・ブルース」が、マイルスの「ワーキン」収録テイクをそのまま使っているわけだ。
残りは、オリジナル・リリースから漏れたもので、#2,4,5は57/8/9録音というから、名盤「Groovy」の未発表テイク、#3は57/3/22録音だから、「Red Garland's Piano」の未発表テイクということになる。
当時の彼らは、常にハイ・レベルの演奏をしていたから、残り物といっても、内容に遜色は無い。
個人的に一番好きなのは、2曲目の「ロスト・エイプリル」。最後、「エイプリル・イン・パ〜リ〜」と引用して締めくくるところもなかなか洒落ている。
アルバム・タイトルに「ブルース」と付いているが、全体的にそれほど重ったるくなく、スロウなバラードや典雅なブルース、アップ・テンポなハッピーものなど、内容は適度にバラけていて、リラックスして楽しめる。
【本再発シリーズ全般について】
プレスティッジ、リバーサイド、コンテンポラリー...etc、往年のジャズ名門レーベルのカタログから、あれこれみつくろって¥1100という安価で提供している。
もういい加減ウンザリの超定番から、かなりものめずらしいアルバムまで、セレクションは様々。
具体的には、いわゆるOJC盤シリーズが元になっているとおもう。そこでジャケットに記載されていたミニ解説が、邦訳付きで採録されている(一部例外あり)。それ以外の解説やオリジナルライナー訳などは一切無く、いたってシンプルな装い。
また、マスタリングも90年代当時の古いままなので、パッケージ(紙ジャケ)や音質(リマスター)にこだわらず、とりあえず安価にコレクションを充実させたい、あるいはとりあえず音だけを楽しみたい、という、初級〜中級ジャズ・ファン向けの企画とおもいます。
完全限定盤らしいので、興味のあるタイトルがあったら、早めのご購入をお勧めします。
ただし、輸入盤でこの価格以下で販売しているのを見かけたら、そちらを購入しても大差は無いとおもいます。
ちなみに本作は、1997年のマスタリング。